文明はなぜ崩壊するのか(Rebecca Costa)
書籍情報
- 著者:Rebecca Costa(著),藤井留美(訳)
- 発行日:2012-03-20
- ISBN:9784562047789
- URL:http://www.harashobo.co.jp/book/b368764.html
書籍目次
- 第一章 なぜ文明はらせんを描いて落ちていくのか
- 三〇〇〇年も栄えた文明
- 進化論ふたたび
- 進化のつまずきは何度でも起こる
- 初期の兆候
- 旱魃への疑問
- つきまとう本能
- 複雑さとローマ人
- クメール帝国の滅亡
- 複雑さと滅亡
- 第二章 進化の贈り物 ――神経科学の画期的発見
- 左と右とひらめきと
- ひらめきと袋小路
- 進化と人間の脳
- ひらめきの力を活用する
- 第三章 スーパーミームの君臨 ――行きづまりの手ごわい子どもたち
- ミームをめぐる論争
- ミームからスーパーミームへ
- 信じることが安らぎになる
- 同調の伝染
- 孤独と絶滅
- スーパーミームのすさまじい負の力
- 経済の均質化
- 均質化の代償
- ミームを離さない
- 第四章 反対という名の思考停止 ――第一のスーパーミーム
- Just say noの弊害
- 自由選択という幻想
- 反対と複雑さ
- ひらめきの抑えこみ
- 第五章 個人への責任転嫁 ――第二のスーパーミーム
- 責任のなすりつけ
- アモクの謎
- 事実を曖昧にする
- 自己避難に目がくらむ
- 小さなエンジン
- 大衆文化のパラドックス
- しつこい肥満
- 雑食のよいところ
- 肥満はシステムの問題
- 第六章 関係のこじつけ ――第三のスーパーミーム
- 根拠のない関係の公認
- 迷走する政策
- こじつけと行きづまり
- リバース・エンジニアリング
- 事実の民主化
- 第七章 サイロ思考 ――第四のスーパーミーム
- 近よりがたいサイロ
- 三本のサイロ
- 秘密のサイロ
- 競争ではなく収束を
- 第八章 行きすぎた経済偏重 ――第五のスーパーミーム
- コインの表裏
- すべてがカネ、カネ、カネ
- 大義のために
- チンパンジーの恐るべき変化
- モンキーとマネー
- 人とお金と暴力と
- 揺れうごく政策
- 制度破壊
- 製薬業界に正義はあるか
- 人から製品へ
- 瞬時対応の圧力
- ビジネス社会を勝ちとる戦い
- 第九章 不合理な世界で見つけだす合理的な解決策
- バランスの回復
- 因襲と戦う
- ユヌスと五人のゴリアテ
- 第一〇章 目覚めと行動 ――戦術的アプローチ
- パターンに目覚める
- 要するに...
- 対症療法の泥沼
- 意味のある緩和策
- これがだめならあれはどうだ
- ベンチャーキャピタルの知恵
- 公共政策の並行プラン
- 長い目で見ると
- 第一一章 隙間を埋める ――より良い脳づくりのために
- 認知の埋めあわせ
- 可能性を利用せよ
- 学校の新しい教材
- ひらめきを注入する
- 新しい明日のための新しいやりかた
- 複雑さと意識
- 大きなひらめきと小さなひらめき
- 次のステップへ
- 第一二章 ひらめきを呼び起こす ――認知を支えるために
- サイズが重要
- 石ころだらけの道と認知
- 新しさのパワー
- 脳フィットネスの効用
- 休憩時間は黄金の時間
- 注意をそらすもの
- 複雑さとコラボする
- 食事と睡眠と運動
- きれいな池で泳ぐ
- 想像力
- 第一三章 入り口に立つ
- 訳者あとがき
第一章 なぜ文明はらせんを描いて落ちていくのか
何故文明は衰退するのか?
- 社会が抱える問題が複雑化すると、人間の認知能力の限界を超えてしまう
- 人間の認知能力の限界が「認知閾」
- 認知閾を超えた問題に対して、人類は適切な行動を取ることが出来ず、手をこまねいている内に手遅れになってしまう
- そのようにして古代の文明は滅びてきた(という仮説)
事例
- ローマ帝国など
第二章 進化の贈り物 ――神経科学の画期的発見
認知閾を克服するヒントについて
- 閃きによって既存の常識を突破する方策が生まれる(こともある)
- [NOTE]
- 確実性に欠けるのが問題か
事例
- 山火事における向かい火の発明
- 詐欺師を犯罪コンサルタントとして起用
- などなど
第三章 スーパーミームの君臨 ――行きづまりの手ごわい子どもたち
スーパーミームとは
- 感染力と影響力が特に強いミーム
- 誰もが信じており疑問にも思わない常識的なもの
- スーパーミームが定着すると(あるいはミームが定着しスーパーミーム化すると)、最早それ意外の選択肢を選ぶことが難しくなる(思考が規定されてしまう)
スーパーミームに支配されつつあることの兆候
- 文明や文化が単一化の様相(モノカルチャー化)を見せつつある時
- [NOTE]
- ポリコレはまさに世の中をモノカルチャー化しようとしているように見える
スーパーミームの負の力
- スーパーミームは多様性を排除する
- スーパーミームにより、人間が何を知り、何を信じ、どう行動するべきかまで同質化してしまう
- 一種のフィルタとしても機能し、情報のインプットもスーパーミームに沿ったものだけを選択的に取得するようになる(確証バイアスの強化)
スーパーミームへの対抗策
- スーパーミームへの対抗策は「意識化」
- スーパーミームの存在と影響を自覚的に意識することで無意識な思考誘導を防ぐ
- [NOTE]
- 知は蒙を啓くというやつである(啓蒙思想)
第四章 反対という名の思考停止 ――第一のスーパーミーム
スーパーミーム(1): 合理性の無い反対
- とにかく反対してしまう
- 反対は進歩を止める
- 反対は閃きを殺す
- 結果的に袋小路へと突き進むことになる
MEMO
- 第1章
- 古代の文明が滅びたのは物事の複雑度が当時の人間の認知能力を超えたから
- 認知閾
- 第2章
- ひらめき
- 第3章
- 第4章
- 反対意見は賛成意見より言いやすい
- 反対意見が状況を膠着状態に陥らせる
- 眼前の問題解決より反対していることが重要になりがち
- 何でも反対の文化は思考や行動を操作しやすい
- 手に負えない(認知能力を超える)状況に直面した時、人類は自分が知っているものに逃げる
- 手に負えない未知の脅威に恐怖してしまう
- 第5章
- 第2のスーパーミームは「個人への責任転嫁」
- システムの欠陥、不備の責任を個人に負わせることで解決しようとする行動
- 誰かが責任を取ったからもう大丈夫だ、という一種の魔術的思考回路
- 問題が複雑化して認知閾を超えると「誰かの責任」ということにして安心したがってしまう
- 第6章
- 第3のスーパーミーム関係のこじつけ
- 相関関係を原因だと思いこむ
- リバースエンジニアリングで証拠を操作する
- 多数決で基本事実を決定する
- 物事の消費スピードが速く、すぐに結論を出さないといけない忙しない時代ではじっくり原因を突き止めることがおざなりになる
- 特に根拠のない関連付けに原因を求めてしまう
- マーケティングにおけるリバースエンジニアリング
- 都合のよい事実だけをつなぎ合わせて望んだ通りの結論を導き出す手法
- 人は自分の意見を持つ権利はありますが、事実を捻じ曲げる権利はありません。 ――アラン・グリーンスパン
- 第7章
- 第4のスーパーミーム → サイロ思考
- 思考や行動を細分化することで情報の共有や協力を損なってしまう
- 複雑なものごとを切り分けて扱いやすくするのは合理的な行動ではある
- だが一方で専門家・専門家集団同士の対立を生むことにもつながる
- 第8章
- 第5のスーパーミーム → 行き過ぎた経済偏重
- ビジネスの成否の物差しを、それ以外の場面にも適用する
- あらゆる行動に対して経済的な勝者と敗者を区別する
- よい車(高級な車)に乗っているものは勝ち組、良い家に住んでいる者は勝ち組、的な
- 第9章
- 不合理な世界で見つけ出す合理的な解決策
- 個人がスーパーミームに勝利した例はある
- ただし、個人の犠牲やリスクが付きまとう
- 地動説を提唱したガリレオ、進化論を提唱したダーウィン、常温核融合?
- 常温核融合はどうなんだろうか
- ひらめきと行動力でスーパーミームを突破する人々
- マイクロクレジットの事例
- 第10章
- 目覚めと行動
- 脳はゆっくりとしか進化しないのに、世の中の問題は猛スピードで複雑さを増していく
- この落差が認知閾
- 認知閾の出現は文明崩壊の兆候
- 認知閾に陥り、合理的な思考ができなくなり、魔女狩りや思い込みで事実を塗り替えていく
- そして社会は崩壊へ向かう
- 問題は理解した時点で半分解決しているものである
- 人類は問題を理解するべきだ
- 第11章 隙間を埋める
- 脳トレの話が始まった
- 第12章
- ひらめきを得るにどうするかの話
- 脳に良い食事の話など
- 第13章
- まとめ的な感じ