仕事消滅 (鈴木貴博)
書籍情報
- 著者:鈴木貴博(著)
- 発行日:2017-08-17
- ISBN:9784062729987
書籍目次
- はじめに
- 第1章 仕事はいつ消滅するのか?
- 第2章 仕事はなぜ消滅するのか?
- 第3章 仕事消滅から生き延びることはできるのか?
- 第4章 仕事が消滅していく過程で何が起きるのか?
- 第5章 不幸な未来はどう回避できるのか?
- 第6章 未来はどうなるのか?
- おわりに
- 参考文献
第1章 仕事はいつ消滅するのか?
仕事消滅はどのように起きるのか
- AIとロボットの進化によって多くの業務が自動化されることにより人間が行う業務自体が無くなる
最初に消える仕事は?
- 自動運転技術によって職業ドライバーが職を失う
- [NOTE]
- 電車の自動運転・無人化の方が楽そうな気がするがそちらはどうなのだろうか?
「なくなる仕事」にはどんなものがあるのか
- リスト参照
知的な仕事はどうなるか
- ホワイトカラーの仕事の多くはビッグデータ分析やAI(機械学習)で代替される
- 大量のデータ分析を必要とする仕事(例:パラリーガルなど)は人間が行うよりコンピュータにやらせるべき仕事になる
- 裁判官や審判などの裁定を下す仕事もAI(機械判定)で行われるようになる
- [NOTE]
- データの入力さえきちんと出来ていれば、その後の工程で人間が介在する必要がなくなる
- これまでの業務システムもそういう発想だったはずだが
「本当はもともといらない仕事」
- AIや自動化技術によって間接サービスを提供する業界も影響を受ける
- 例えば、自動運転技術が普及したら、自動車保険業界の規模は現在より縮小されるはず
- [NOTE]
- 不可抗力というものはあるだろうから、自動車保険自体は無くなることはないと思うが
第2章 仕事はなぜ消滅するのか?
何がAIを進化させたのか
- 機械学習がAIを強力に進化させた
- [NOTE]
- 強化学習にも言及するべきでは
人間より賢いAIとは
- 2017年時点のAIは大量のデータから教師データ(正解)を基に学習を積み重ねていく機械学習型
- 機械学習型のAIはあらかじめ定められた問題領域でしか効果を発揮しない
- しかし、いずれ自分の学習結果と現実の影響をフィードバックしながら自己学習を進めるAIが登場するはず
- [NOTE]
- 機械学習をAIと呼ぶのはかなり抵抗があるが、バズワードとはそういうものか
- フィードバック学習サイクルを持つシステムぐらい既にあるのでは? AlphaGoだってそうなのでは
- というか、強化学習を指してるのか?
AIの上司は
- AIには大量の計算能力が必要なので、大型のサーバラックが必要になる
- しかし、ムーアの法則によってハードウェアは年々小さくなる
- [NOTE]
- ムーアの法則はすでに限界が見えているのだが
- とはいえ、ブレークスルーの余地がないわけではないので、小さくなる可能性はある
- ただし、計算能力は高ければ高いほどよいので、省スペース化と性能であれば性能が優先されるような気はする
なぜこれだけの脅威を人々は直視しないのか
- 人間は正常性バイアスというものがあって、実際に脅威に見舞われている時でも自分だけは大丈夫なはずだという現実逃避に走ってしまう
何がロボット開発を加速したのか?
- 311のフクシマ原発事故のため
- [NOTE]
- 本当か? 産業ロボット開発はそれ以前から活発に行われていたと思うが
人間がAIやロボットに勝てる点は何か?
- 人体の手と指の汎用性・精密性はまだロボットが模倣するのが難しい
- [NOTE]
- プログラム可能な動作ならかなり正確にやるし、NC加工機は人間の能力など遥かに超えているのだが
- 単純にプログラムの問題では? という感はある
どのような順序で仕事は消滅していくのか?
- 2025年頃 -- 職業ドライバーの仕事が消滅
- 2030年頃 -- 専門知識型頭脳労働(裁判官、パラリーガルなど)
- 2035年頃 -- ホワイトカラー労働者、軽作業・宅配業者
- ※手先の器用さが要求される職業は2040年頃まで残る(菓子職人や工芸細工職人などの家内制手工業系の仕事)
- [NOTE]
- 残るからと言って儲かるわけでもなさそう
- コストを掛けてまで自動化・機械化する価値のない分野が半ば放置される形で人間の仕事として残されるということだろう
第3章 仕事消滅から生き延びることはできるのか?
2025年のタクシードライバー
- タクシードライバーに自動運転タクシーのオーナー権を与え、自動運転タクシーの営業権を元タクシー運転手に限定する
長距離トラックドライバー
- タクシードライバーと同じことが起きる
- [NOTE]
- あるいはもっと酷いことが起きるのでは?
ロボットから人間の仕事を守るものは何か?
- ロボットの生産速度の問題で、2025年頃までは人間の仕事を全て賄うにはロボットの絶対数が不足していると予測される
- ただし、本当に心配すべきは肉体労働の仕事ではなく、頭脳労働の仕事がAIに奪われること
特別で稀少な能力を持つ人だけが生き残るのか?
- NO.
- むしろ「頭のいい人の仕事」の方が先にAIに代替され、肉体労働の方が暫くは残る
- [NOTE]
- 費用対効果を考えれば高給取りの仕事から自動化していくのは当然の話ではある
科学者の仕事はAIに奪われるのか?
- いずれはそうなる
- AlphaGoは膨大な量の過去の棋譜を読み込み、学習を重ねた結果、人間を超えた
- 同じようにAIに人類の知識を全て読み込ませればいずれ人間を超えた知性が生まれる
- [NOTE]
- その為には自然言語を理解できるようにならなくてはならないだろうし、抽象的な思考能力も必要なのでは? 現状の機械学習・教科学習で達成できるレベルではなさそうなのだが
芸術家の仕事はなくならないのか?
- なくなる、もしくは大幅に減少する
- 過去の優れた作品の特徴を学習したAIがヒットソングを連発するようになり、費用対効果の面から人間のアーティストが企業に使われなくなる(プロデュースされなくなる)
- 芸術作品に対する人間の反応は測定可能であり、測定可能であるということは学習可能である
- したがって、人間を感動させるパターンを大量に生みだすAIを作ることは可能である
- [NOTE]
- 測定可能な問題である時点でAIには勝てない
- 個人的なつながりを重視するローカルなアーティスト(地下アイドル的な)は存在できるだろうけど、大儲けは難しくなっていくということだろうか
音楽アーティストの仕事はなくならないのか
- ヒットする音楽を判定するAIは既に存在する
- ヒットソングの特徴を分析・学習して模倣することが可能になれば、音楽アーティストの大半はお払い箱になる
- あるいはAIがゴーストライター・ゴーストアーティストになり、人間はAIが作った音楽を歌うだけの存在になる
- 人が共感するフレーズを生成するAIは実用化されつつある(Twitter Botとかで実証中)
高給取りの仕事で早い時期にAIに取って代わられるものは?
- 金融業界のトレーダーやディーラー、ファンドマネージャー
- 医者
- [NOTE]
- レントゲン写真の鑑定などは機械学習の得意分野ではある
- 診察に関しても各種診断器具をコンピュータに接続可能にするだけで十分実用的な診断は可能になるだろう
経営コンサルタントの仕事では何が生き残るのか?
- 2035年頃には経営コンサルタントのような頭脳労働もAIで代替できるようになる
- [NOTE]
- 今でも可能では?
- 美麗なパワポを作るAI(あるいはプログラム)があればよさそう
- というか、経営コンサルタントの仕事がデータサイエンティストに代替されるようになるのでは?
上司としての仕事は全てAIに置き換わるのか?
- AIの操り人形としては残る
- [NOTE]
- AIという名の神から神託を賜る巫女の仕事が復活すると考えると進歩してるのか退行してるのかわからないな
第4章 仕事が消滅していく過程で何が起きるのか?
イノベーションによる新しい仕事の登場に期待できるか
- 悲観的である
- 新しい仕事は生まれるかも知れないが、それは一世代後のことになる可能性が高い
- 産業革命時のラッダイトも何だかんだで40年近く続いた
- つまりそれだけの期間、新しい仕事が生み出されなかった・広まらなかった
- 新しい仕事は生まれるかもしれないが、2017年現在に生きている人がその仕事に有りつける可能性は低いと予想される
人類の仕事が30%減少すると失業率は30%になる?
- 研究機関の予測では失業率が30%になることはないと予測されている
- そのような事態になると社会情勢が悪化し、政府の支持率が下がるので、その時の政府が何らかの政策を実施すると考えられるためである
- その場合、現実的な施策として「ワークシェアリング」の義務化が予想される
- ワークシェアリングによって失業率は下がるが、労働者の収入は減少する
- 全体の60%の人間は年収が大幅に減少すると思われる
- [NOTE]
- 収入を上げたければダブルワークや起業が流行するのだろう(現在もそうだが)
仕事が無くなるとみんな貧しくなる?
- 現在進行形で起きている通り、資本家に富が集中し格差が進行していく
- 人類の大半は今より貧しくなり、生活保護や政府の福祉支援に頼った生活をすることになる
- [NOTE]
- ディストピアだ
- テロ活動も更に激しくなることだろう
1%の富裕層の富を残りの人達に再配分できないか
- 共産主義はそのような思想だったが尽く失敗に終わった(ほぼ鎖国状態だったキューバは例外的に上手くいったのかもしれない)
- 人類は共産主義の失敗のトラウマがあるため、富裕層に対する資産の累進課税を実行に躊躇いがある
- 人間の本能として富と権力を欲するため、再配分が上手く機能することは悲観的にならざるを得ない
未来のラッダイト運動は起きるのか?
- その可能性は十分ある
- [NOTE]
- 似たようなことは既に起きている
- 長年の経験で仕入れを担当してきたバイヤーが機械学習によるデータ分析のよる仕入れで首を切られることに反発してちょっとした騒動を起こしたりとか
- 現場力が過剰に神聖視されている業種ではデジタルラッダイトめいた衝突は実際起きていると聞く
第5章 不幸な未来はどう回避できるのか?
みじめな未来になってしまうのか?
- 富の再配分が実現できれば不幸な未来は回避できる。しかし、それは非常に難しい
- 20世紀までのやり方では富が富裕層に集中することは避けられない
- したがって、新しい解決策が必要である
- 新しい解決策とは、AIやロボットに対して給与を支払うことである
なぜロボットに給料を支払えば全て好転するのか?
- ロボット経済三原則の提唱
- 原則1: 全てのAI/ロボットの利用権を国有化する
- 原則2: AI/ロボットの産業利用に対しては、その働きが人間何人分になるかを計測し、その仕事に応じた賃金を国に支払う。ただし、家庭利用/私的利用については賃金を支払う必要はない
- 原則3: AI/ロボットに支払われた給料はそのまま国民に配分する
- 人間の代わりに働くロボットに企業が給料を支払うモデル
- AIやロボットの所有権は企業が持つが、利用権は国が持つ
- ロボットを利用するコストと人間を雇うコストが同じ水準で釣り合えば、人間とロボットが同じ職場で共存できる
- また、このモデルが実現すれば人間が働かなくても経済がきちんと回るようになる
- [NOTE]
- 脱税と同じようにロボットに給料を払わない企業が一人勝ちしそう(ロボットは労働基準局に駆け込まないので尚更)
- とはいえ、その場合は追徴課税と同じようなペナルティが下されることになるのか
- 国が利用権というか、利用許可を出すモデルは飲食業が保健所から営業許可証をもらうようなイメージでいいのだろうか(無許可営業は刑事罰が発生する的な)
ロボットに給料を支払うことは経済学ではどう考えられているか
- 最低賃金と同じようなものであると認識されている
- 一方で、経済学的には最低賃金は自由な経済を妨げるものであるとも認識されている
- 最低賃金があるがゆえに実現しない労働取引が発生するため
- [NOTE]
- 自由経済の為すがままにしてれば行き着く先は児童労働とか奴隷労働になるからしゃーない
「すべてのロボットの利用権を国有化する」方法は?
- 例えば、日本の車を例に上げると、日本では車そのものは個人(あるいは企業)が所有するが、公道を走るためには陸運局に登録してナンバープレートを発行してもらわなくてはならない
- ロボットも同じように産業利用する場合は国に登録して許可を得るよう法改正すればよい
「ロボットの給料を国に支払う」やり方は?
- 具体的な方針は検討事項が多すぎるので官僚に考えてもらおう
- [NOTE]
- えぇ...逃げやがった
今すでに稼働しているロボットについてはどうするか?
- 一定の準備期間を設けて段階的に徴収するようにするべき(設備投資の減価償却が済む8年間が目安)
- また、産業用ロボットに限らずスマホやパソコン・サーバに搭載されたAIなどからも賃金を徴収するべき
- ロボットに対する人件費がかかるせいで製品価格が下がらず国際競争力が低下する問題に関しては、海外輸出する場合はロボットの賃金を原価に含まない価格で輸出するルールにする
- 輸入国は関税をかけることで対応してもらう
- ロボットに給料を支払うという思想を国際社会の共通ルールにする必要がある
- [NOTE]
- 二重基準なルールとかヤバイことになる予感しかしないのだが
- 条約を結ぶ必要があるのだろうけど、上手くいく予感が全くしない(TPPでさえこれだけ揉めるというのに)
第6章 未来はどうなるのか?
ロボットによるテロをどう防ぐか?
- セキュリティ企業に頑張ってもらう
- [NOTE]
- えぇ...また逃げやがった
ロボット兵器の開発は未来への脅威ではないか
- [NOTE]
- ここら辺、凄まじく歯切れ悪い
- 常識的に考えて脅威になるのは確実だろう
金持ちになるにはロボット株を買った方が早い?
- 最近は株式を非公開のままにするユニコーン企業が増えてきたから、あまり期待できない
ロボットが農業を始めたら日本の農業は復活できるか?
- 外国の大規模農業にコスト面で勝つことは難しいので復活は難しいだろう
犬と猫が失業する?
- 愛玩ロボットがペットを代替するようになるので、生体のペットは減少すると思われる
- [NOTE]
- アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
働かなくてもよくなった人類はどうなる?
- 古代ローマの貴族のようになると予想される
- 大方の人間が、芸術家、学究人、アスリート、趣味人、遊び人に分類されるようになる
- [NOTE]
- 後世に堕落した時代となじられるようになるのか
- 食うに困らなくなれば名誉がより重視されるのは世の常なので、探検家や武道家、宇宙飛行士などが流行するのではなかろうか
- グレッグ・イーガンの順列都市のようにひたすら何かに没頭する生活になるとか(そのように精神を操作する薬も作られるだろう)