マインド・コントロール(岡田尊司)
書籍情報
- 著者:岡田尊司
- 発行日:2012-12-05
- ISBN:9784163760605
書籍目次
- 第一章 なぜ彼らはテロリストになったのか
- 第二章 マインド・コントロールは、なぜ可能なのか
- 第三章 なぜ、あなたは騙されやすいのか
- 第四章 無意識を操作する技術
- 第五章 マインド・コントロールと行動心理学
- 第六章 マインド・コントロールの原理と応用
- 第七章 マインド・コントロールを解く技術
第一章 なぜ彼らはテロリストになったのか
自爆テロを敢行する人の精神状態
- 特に精神が不安定だったり、異常心理に囚われていたという証拠は発見されなかった
- 信仰心が特に篤いわけでもなかった(むしろ、信仰心が乏しい者すらいた)
- 理性的な人物が多く、自分がテロ行為に加担する理由を理路整然と説明できた
テロリストの人材層
- 貧困層よりも裕福なエリート層の出身者が多い
- 迫害を受けたり、悲惨な目にあったのでその復讐の為というような者はむしろ稀なケース
- 配偶者や子供がいる者も多い
- [NOTE]
テロリストになる事は特別な者に許された名誉という空気感
- テロリストになる者の世界では、テロリストになったり、聖戦で戦死することはこの上ない名誉
- 子供の頃からそのような生き方に憧れる空気がある(日本の場合、ヤクザ映画やドラマに若者が憧れるイメージ)
テロリストは操られて自爆テロを起こすわけではない
- 自らの覚悟と決心のもとで自爆テロを敢行していた
- 一般的な想像のように、ある種の催眠状態のような意識が狭窄した状態で、テロ組織に操られているわけではないようだ
テロリストに共通して見られた特徴
- (1) 理想主義:
- (2) 社会に対する不適応を内面に抱える:
- 社会で生きる事に対する苦痛や困難を感じており、社会に対する漠然とした不信感を持つ
テロリストを養成するプラクティス
- (1) 外部から遮断された小さな世界:
- 外部から遮断された小集団とその中だけで完結する排他的な人間関係の構築
- そこで殆どの時間を共に過ごし、それ以外の生活・情報・刺激を遮断
- そこでの生活が全ての基準となり、そこでのルールや価値観に支配される
- (2) ひとつの目的に向けて、視野狭窄を生じさせる:
- 外部から遮断された小集団で一緒に暮らし、ひとつの目的(テロリズム)の為に厳しい訓練を受ける
- そこで芽生えた共通の価値観、仲間意識が思考スタイルを束縛していく
- [NOTE]
- 軍事訓練としては極めて通常のやり方であり、つまり正規の軍事組織もマインドコントロール的手法を利用している
第3章 なぜ、あなたは騙されやすいのか?
マインドコントロールされやすい人の特徴
- 他者への依存性
- 自分で主体的に考え、判断し、行動する力が大幅に低下している
- 些細な事をするにも、自分を支配している人間の意向や顔色を伺い、その意の侭になる
カルト的なクローズドの集団の特徴
- 個人の自由な精神活動や主体的行動を恐れ、それを制限しようとする
マインドコントロールの基本
- 主体的に考えることを許さず、絶対的な受動状態を作る
マインドコントロールされやすい精神的特徴
- (1) 依存的なパーソナリティ:
- 主体性の乏しさ、過度な周囲への気遣いなどを特徴とする
- 優柔不断で相手任せになりやすい
- (2) 高い被暗示性:
- 入ってくる情報に対して、信じていいか、信じるべきでないかを批判的に判断する能力が低下している状態
- 結果として、自らの主体的な意思で行動するのではなく、与えられた指示のままに行動してしまいやすい
- (3) 現在、及び過去のストレス:
- 挫折や病気、苦境にあり、心が弱っている時はマインドコントロールを受けやすくなる
- 過去(幼少期)に安心できない環境で育った者は不安が強い性格や人の顔色を気にする傾向、他人に依存する傾向が強まり、他人から支配されやすくなる
- (4) 支持環境の脆弱さ:
- 孤立し、安定した支持が身近にないと、相手をよく見極めずに助けを求めたり、頼ったりしがちで、マインドコントロールの餌食にされやすい
依存性パーソナリティを生みやすい環境
- 親がアル中だったり、親が情緒不安定で子供が安心できない
- 自己愛的な母親による支配
- 過保護