戦争にチャンスを与えよ(Edward Luttwak)
書籍情報
- 著者:Edward Luttwak(著), 奥山真司(訳)
- 発行日:2017-04-20
- ISBN:9784166611201
- URL:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166611201
書籍目次
- 日本の読者へ―日本の新たな独立状態と平和
- 1 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」
- 戦争は平和をもたらすためにある
- 無責任なドイツのクロアチア独立承認
- 外部の介入が戦争を長引かせた
- 難民は新しい国で新しい生活を始める
- NGOの無責任ぶり!
- 一九四四年の時点で日米戦争が凍結されていたら......
- 国連難民救済事業がハマスの武力闘争を支える
- 紛争に介入してはならない
- 米国はイラクの経験から何も学ばなかった
- 戦争だけが平和をもたらす
- 戦争には目的がある。
- 促成栽培などできない「国民意識」
- 2 論文「戦争にチャンスを与えよ」
- 戦争も大きな役割を果たしている
- 「無関心で安易な介入」が戦争を長期化させる
- 紛争への介入をビジネスにする国際組織
- ほとんど機能しない平和維持軍
- コソボへのNATO介入の実態
- 難民支援が難民を永続化させる
- 難民支援が紛争を永続化させる
- 国連より害悪のあるNGOの介入
- 「戦争が平和をもたらす」という逆説
- 3 尖閣に武装人員を常駐させろ中国論
- 尖閣をめぐる状況は変わりつつある
- 中国のローコストでメリットのある作戦―「漁民」の上陸
- 中国外交の特異な構造通常の外交ルートが機能しない
- リスクの高い奪還作戦
- 「訓練」と「演習」の違い|自衛隊に必要なもの
- 「中国封じ込め同盟」への貢献
- 領土問題がすぐに解決しなくとも対露関係は日本の国益
- 4 対中包囲網のつくり方―東アジア論
- 巨大で不安定な隣国
- 成長の鈍化と社会の変化で困難になる政治的統治
- 習近平以後の粛清を恐れる
- 習近平は「核心的リーダー」になれるか?
- 隣国さえ理解しない中国
- 日本を理解しない中国
- 日本の「あいまいさ」が中国の誤解を生む
- 中国の偽装漁民による尖閣上陸
- 「あいまいな態度の日本」と「隣国すら誤解する中国」
- 「ノヴォロシア」|エカテリーナ二世が獲得した領土
- 米国のインテリジェンス能力は低い
- 大国として振る舞えていない中国
- 「反中同盟」の構成メンバー
- 米中の狭間で揺れるフィリピン
- ドゥテルテ大統領の戦略
- フィリピンは「反中同盟」から脱落
- フィリピンとの同盟関係は困難
- 5 平和が戦争につながる―北朝鮮論
- 「戦略」は「政治」よりも強い
- 平和は戦争につながる
- 北朝鮮への日本の態度
- 北朝鮮への降伏
- 北朝鮮への先制攻撃
- 「まあ大丈夫だろう」が戦争を招く
- 「降伏」も選択の一つ――シリア内戦の真実
- 日本政府は自ら動くべし―「降伏」と「先制攻撃」
- 「抑止」と「防衛」
- いずれかを選択すべし
- 「制裁」は効果なし
- 6 パラドキシカル・ロジックとは何か――戦略論
- パラドキシカル・ロジックとは?
- 一般常識が通用しない「戦略の世界」
- 「戦略のロジック」と主著について
- 勝利が敗北につながり、敗北が勝利につながる
- イスラエルが勝利できた理由
- ドイツの間違い
- イギリスの「忍耐力」
- 名目だけの同盟と実質を伴う友好関係
- 大戦略と外交力
- ディシプリン
- ディシプリント
- 「戦略」に不可欠な「規律」
- イギリスの同盟工作
- イギリスの強み
- 7 「同盟」がすべてを制す―戦国武将論
- 戦国武将の戦略論
- 完璧な戦術家――武田信玄
- 最高の戦略家徳川家康
- 「戦術」と「戦略」を併せ持つ――織田信長
- 戦略に必要なのは「規律」
- アメリカとの同盟
- 「同盟」こそ最強の戦略
- ディシプリント
- 8 戦争から見たヨーロッパー「戦士の文化」の喪失と人口減少
- 戦争から生まれたダイナミックなヨーロッパ
- 『オデュッセイア』と『イーリアス』
- ヨーロッパ文化の「非戦闘化」による少子化
- 「生命の法則」を拒否する国は消滅する
- トランプには未来がある
- まだ健在なアメリカの戦士文化
- 自殺するヨーロッパ
- ヨーロッパと戦争
- 戦略は上手だが、経済運営が下手なロシア
- シベリア開発の過去と現在
- ロシアの長期戦略
- ヨーロッパの消滅は不可避
- 戦争とヨーロッパの多元性
- イスラエルの「戦士の文化」
- 9 もし私が米国大統領顧問だったら――ビザンティン帝国の戦略論
- 一般労働者の利益を代弁しない民主党と共和党
- 国内政治の混乱とアメリカ外交の麻痺
- ビザンティン帝国と徳川日本―長期持続の秘訣
- ビザンティン帝国の七つの教訓
- 「戦略」から見たIS掃討とシリア内戦
- ナイーブなオバマ外交
- もし私が米国大統領顧問だったら
- 対プーチン交渉の戦略
- ウクライナ問題より中国問題
- 10 日本が国連常任理事国になる方法
- 強いアメリカを望む日本の特殊な立場
- 不安定な米中と安定したロシア
- 日本の「常任理事国入り」戦略の誤り
- インドとの共同管理を狙え
- 訳者解説
1 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」
戦争にチャンスを与えるとは?
- 筆者が著した論文のタイトル
- 「戦争の目的は平和をもたらすことにある」と説く
戦争→平和のプロセス
- 開戦時は人々は意気効用で好戦的
- 開戦し、戦争が続くと国力が疲弊していく
- 国の資源(経済、人的)を使い尽くし、どうにもならなくなった時、戦争は終わる
- その後復興期に移る
- [NOTE]
- これは敗戦時のパターンでは?
戦争が終わらないケース
- 外野が介入し、双方が退けない状況を作り出してしまうパターン
- シンプルに殴り合って勝敗が付けば戦争は短期に終わる
- 外部勢力の支援が戦争を無駄に長引かせる
- [NOTE]
- 本当か?
難民支援は問題が多い
- 戦争は難民を生じさせるものである
- 難民は別の場所に逃れ、定住し、新たな生活を始めるべきである
- 国連が難民キャンプを開設し、難民がそこに長年留まる
- 難民キャンプに何時までも留め置かれ、新しい生活を始められず、怨みや憎悪を次世代に引き継いでいく
- パレスチナ問題が典型である
- [NOTE]
- 難民がどこへ行こうと故郷を奪われた憎しみや望郷の念は消えないのでは?
- ユダヤ人がまさにそうだったはず
ルワンダのケース
- NGOが難民支援をした為、虐殺が長引いた
日本のケース
- 日本はアメリカと最後まで戦った上で負けたので復興がスムーズに始まった
- [NOTE]
- 要するに無条件降伏するまで戦えばよいという話なのだろうけど、資源が無くいずれ物理的に白旗を上げざるを得ない日本とゲリラ化して戦い続けられる大陸の戦争を一緒にするのは違うような
- アフガニスタンだって戦力的にはタコ殴りにできるにも関わらず、いつまでもダラダラと戦闘が終わらないのはそういうとこに起因していると思うのだが
朝鮮半島のケース
- 大国の代理戦争になってしまったので、大国の都合で停戦することになり、今もそのままである
結論
- 外野の介入によって戦争を凍結させるのは、却って戦争が長引いてしまう
- [NOTE]
- とはいえ、朝鮮戦争は放っておけば半島が共産化していたのは確実だったし、ああせざるを得なかったと思うのだが