荒野の宗教・緑の宗教(久保田展弘)
書籍情報
書籍目次
- 序章 なぜ戦争が肯定されるのか
- 1 報復という名の原理
- 2 無数にある世界にたいする攻撃
- 3 グローバリズムの民族紛争
- 4 多民族世界に生きる私たち
- 第一章 ユダヤ教 ――神に選ばれた旅人の宗教
- 1 ユダヤ教の聖典とアブラハム ――神の呼びかけと選び
- 2 イスラエルの流浪と神の認識 ――寄留者と神
- 3 モーセと「十戒」 ――イスラエルというアイデンティティー
- 4 荒野に生まれるもの ――日や月に感動してはならない
- 5 ユダヤ人という生き方 ――聖別という意識
- 第二章 キリスト教 ――救世主の行動原理
- 1 十字架上のイエス ――受難者の罪と勝利
- 2 紀元一斉記のユダヤ教社会 ――弱者の位置に立つ人
- 3 パウロによるキリスト教 ――異邦人への呼びかけ
- 4 中世カトリックの栄光と死の思想 ――聖者と骸骨
- 5 救済の原理と<神の国> ――プロテスタンティズムとユダヤ教
- 第三章 イスラーム教 ――聖俗不分の宗教
- 1 戦うイスラーム ――神の唯一性という認識
- 2 ムハンマドの瞑想と啓示 ――「永遠の宗教」への確信
- 3 神の言葉の現実感覚 ――アッラーと人間の取引き
- 4 共同原理とその身体感覚 ――断食と礼拝がもつ意味
- 5 拡大するイスラーム ――宗教への偏見との戦い
- 第四章 神の闘い、民族の闘い ――人を憎悪と悲しみに導くもの
- 1 唯一の神、遍満する神 ――自然環境・風土が生みだすもの
- 2 歪められたイスラームのイメージ ――希望の道を見いだせないまま
- 3 峡谷の部族国家 ――アフガニスタンの孤独
- 4 バルカン半島 ――血塗られた二十世紀の宗教
- 5 エルサレム ――聖地という神の領土
- 第五章 インドに生まれた宗教 ――瞑想と共生
- 1 聖者とコンピュータ産業 ――古代と未来の共存
- 2 瞑想と宗教の発生 ――自然の多様性の中で
- 3 一神教と無神論 ――ジャイナ教の不殺生
- 4 ウバニシャッドの思想 ――生命の本質・生命の円環
- 5 溢れる神の造形 ――日常のなかの神
- 第六章 仏教 ――変容する救済論
- 1 「苦」の認識 ――「こころ」を見すえるブッダ
- 2 孤独に徹する ――世間を見る智慧
- 3 仏性の発見 ――菩薩と仏像
- 4 呪術化と十方浄土 ――密教の世界観
- 5 霊魂という神・仏 ――日本仏教への変容
- 終章 宗教の可能性 ――否定神学から肯定神学へ
- 1 報復と憎悪を超えるもの ――宗教は無力なのか
- 2 宗教と情報化社会 ――森に入る
- 3 緑の神学 ――世界と連動する内面宇宙
- おわりに 無力であるという認識
- 主な参考文献