ただしさに殺されないために 声なき者への社会論(御田寺圭)
書籍情報
- 著者:御田寺圭(著)
- 発行日:2022-05-20
- ISBN:9784479393870
- URL:https://www.daiwashobo.co.jp/book/b601745.html
書籍目次
- 序章「私はごく普通の白人男性で、現在28歳だ」
- 第1章 ただしい世界
- 1 文明の衝突
- われわれは、それでも風刺画をやめることはない
- 西欧文明は敗れる。テロのせいではなく、自らの思想によって
- 「多様性・多文化共生」という名の片務的責務
- 表現の自由と人権思想の対立
- 極右を支持する同性愛者
- 「前提を共有しない者たち」との戦い
- 2 アルティメット・フェアネス
- ウイルスが燻し出す対立構造
- 平穏な社会は永続的な勝者をつくる
- 究極の公平を求めて反旗を翻す
- 3 人権のミサイル
- 東欧からの贈り物
- かつては「人権」によってミサイルが放たれた
- 迫りくる「相対化」の時代
- 4 両面性テストの時代
- コロナ対策に成功したイスラエル
- 足かせとなった人権思想
- 反移民国家ハンガリーの「不都合な勝利」
- 民主主義国家の光と影
- 5 共鳴するラディカリズム
- 連鎖していく過激思想
- 「生きづらさ」の物語化
- 責任の外部化
- 物語と人との共鳴から、人と人との共鳴へ
- 物語の復活を願う人びと
- 「多様性」の反動
- 6 リベラリズムの奇形的進化
- 不寛容なリベラル?
- 共感性という風穴
- 「共感できない者」にも与えられるリベラルな恩恵
- 道徳的優位性 ――人情=人権=正義
- 傾斜配分の正当化
- 徳の賊
- 1 文明の衝突
- 第2章 差別と生きる私たち
- 1 キャンセル・カルチャー
- SNSで台頭する人治主義
- 自由の制限にはあたらない。なぜなら......
- 過去の自分がいまの自分を刺す
- 伝播する疫病
- 2 NIMBY
- 彷徨える社会コストの集積地
- 高級住宅街に「治安を乱す存在」はいらない
- 平和な国の最後のリスクは人間である
- 「被害者」ポジションをめぐるパワーゲーム
- 3 排除アート
- 路上生活者を追い出すための作品
- 「排除」のポジティブな言い換え
- きれいな街が隠蔽するもの
- ただしく拒絶するやさしい言葉
- 4 植松聖の置き土産
- 社会にとって役立つ存在/役立たない存在
- 「植松理論」とは何か
- 反論の脆弱性
- 私たちの社会にはマイルドな「植松理論」が存在する
- 植松の問いと対峙する日
- 5 輝く星の物語
- 共感と称賛があふれるストーリー
- 私たちに赦しを与えてくれるから
- 美しい物語が持つ影の表情
- 発達障害者の親たちに突き付けられる責任
- 「ふつう」を擬態するように求める社会
- 「ありのまま」が受容される人と、そうでない人
- 6 闘争と融和
- 「冷淡」な駅員かクレーマーか
- 危ういバランスの上で成立した「川崎バス闘争」
- 差別ではなく貧しさによって
- 強者はどこに消えた?
- 1 キャンセル・カルチャー
- 第3章 自由と道徳の神話
- 1 ルッキズム
- 見た目で判断されない社会へ
- 奇妙な違和感 ――加速するルッキズム?
- ルッキズム反対論は美しい人のためにある
- ルッキズム批判の果てにあったもの
- 2 マッチングアプリに絶望する男
- 「すべての女がサイコパスに見える。もうだれも信じられない」
- 彼の見た風景
- 動物化する人間関係
- 女性だけが解放された
- 去勢された男たち
- さらに理性的になり、ただしくなった男たちは、去っていった
- 3 健やかで不自由な世界
- 牛肉は地球環境の「敵」だ
- 嫌われていたヴィーガニズム
- 健康である義務 ――パンデミックで変わる倫理
- 「個人の自由」の喪失
- 4 自由のない国
- 一国二制度の終焉
- 「表現の自由」が存在しない国
- 「民主主義的プロセス」の省略
- ファシズムを歓迎するリベラリストたち
- 5 置き去り死
- トイレで生まれ、アパートで消える命
- だれにも煩わされない社会を私たちは望んだ
- 弱者にのみ降りかかる自由の代償
- 「迷惑人間を撃退!」
- 彼女もまた「迷惑で不快な他者」だった
- 6 死神のルーレット
- 社会に復讐する者
- 弱者の「弱者」たるゆえん
- 誰もが見て見ぬふりをする
- 助けようとする人にさらにリスクを引きわたす
- 1 ルッキズム
- 第4章 平等なき社会
- 1 親ガチャ
- 「親ガチャ」という言葉が人びとを捉えた
- バブルを知らない若者たち
- 人間社会の「ネタバレ」はもう済んだ
- 努力信仰が死ぬとき
- 2 子育て支援をめぐる分断
- かつて社会が子どもを育てた時代があった
- パンデミック後の景気対策として
- 「子どもたちのために」の建前に寄せられる不満の声
- 恋愛・結婚が贅沢になる時代
- 国家の存亡の危機
- 3 能力主義
- 大学は、あらゆる差別に反対する?
- どうしても消せない差別
- 「能力差別」の合理性
- ルッキズムを許さない高偏差値の学生たち
- 女性を競争社会に投入する
- オリンピックが明らかにした知的エリートたちの想像力の欠如
- 交わることのない大衆とエリート
- 4 低賃金カルテル
- 厚遇される役に立たない仕事
- エッセンシャル・ワーカーには感謝が寄せられるが......
- だれもやりたくない地味できつい仕事をあえてする人なのだから
- 低賃金の原因は私たちの偏見にある
- 5 キラキラと輝く私の人生のために
- 「欧米ではメジャーでカジュアルな卵子凍結」
- 先進国のバリキャリ女性のために働く途上国の女性メイドたち
- 資本主義の忠実なしもべ
- 人権思想を守るために、不平等な人権をつくる
- 6 平等の克服
- 暴力と破壊が、社会を均す
- 平和な世界によって失われたもの
- パンデミックは持たざる者たちの希望になりえるか
- テクノロジーが「恐怖」を克服した
- 1 親ガチャ
- 第5章 不可視化された献身
- 1 子ども部屋おじさん
- 増え続ける子ども部屋で暮らす中年男性
- 人間関係を得る資格とは
- 快適な社会の透明人間
- 他者を求めることは「加害」なのか
- 「社会問題」と呼ぶ責任
- 2 暗い祈り
- 新たな就職氷河期の予兆
- 「公平に」見捨てるべきだという声
- すべての人が、同じ方向に祈っているわけではない
- 社会の低迷と閉塞が救いになった人びと
- みんな当事者の今が「透明化された」人の痛みを知る最後の機会になる
- 3 きれいなつながり
- 震災によって、人びとは再び結ばれた
- つながり過ぎたその先で
- あなたは、つながるに値する?
- 「つながり」が格差を拡大する
- 人間関係という資産 ――分けられない宝
- 4 搾取者であり、慈善家であり
- 聖人君子はいない
- ある金融家の搾取と善行
- 天才児のための財団 ――貧しき者から富める者への再分配
- スポットライトの影にいる者たち
- 5 共同体のジレンマ
- 「オンライン・サロン」は悪なのか
- 無縁化/無援化社会か、搾取的な包摂か
- 潔癖さを求める現代の呪い
- それでも私たちは個人主義を選ぶ
- 6 疎外者たちの行方
- アウトサイダーの終焉
- 「ヤクザ」が消えれば、やくざ者はいなくなるのか?
- 疎外の果てに現れた者たち
- お前はどうするつもりや?
- 1 子ども部屋おじさん
- 終章 物語の否定
序章「私はごく普通の白人男性で、現在28歳だ」
- [WIP]
[第1章] 1 文明の衝突
- シャルリの話
- フランスの風刺漫画を描いた新聞社がイスラム教徒に襲撃され死人が出た事件
- 今日の我々が直面している「文明の衝突」
- 一つの国の中に別の文明が入り込み、密接な距離感の下に同居している
- 結果、それぞれに相容れない価値観や規範体系が衝突を起こしている
- 近年のリベラリズムによって
- 多様性・多文化共生の名の下に自らの国に外国人を招き入れた結果、彼らとの価値観の相違・利害対立が発生
- 西欧文明は自らの選択によって滅びる
- 西欧文明はリベラルであるが故に人口の再生産ができず、粛々と増えるイスラム教徒に飲み込まれる
- 人権を守った結果、国が滅ぶ喜劇
[第1章] 2 アルティメット・フェアネス
- ウイルスが表面化させた「若者vs老人」という対立構造
- 新型コロナで表面化したのは高齢者が
- 富裕層にとっての不愉快なリスク
- 理不尽な理由で命を落とすこと
- 新型コロナのパンデミック下においては、街ですれ違った誰かから感染症を感染させられること
[第1章] 3 人権のミサイル
- [WIP]
[第1章] 4 両面性テストの時代
コロナ対策に成功したイスラエル
- イスラエルはコロナの感染拡大を効率的に封じ込めた
- イスラエルは人権を制限することでコロナの封じ込めに成功した
- 一方、人権や民主主義的手続きをやろうとした国は対策が間に合わず、深刻なダメージを受けた
足かせとなった人権思想
- リベラリズムは平時には美徳
- 一方、非常事態においては足かせになってしまう
- イスラエルの例や元々人権を重視していない中国はパンデミックという非常事態には有効に機能した
- リベラルや自由主義はむしろ脆弱性を晒した
反移民国家ハンガリーの「不都合な勝利」
- ハンガリーはGDPの4.7%に及ぶ巨額の社会投資の結果、人口減少に歯止めをかけた
- ハンガリーの少子化対策:
- 4人目の子供を産むと定年まで所得税ゼロ
- 3年間の有給休暇
- 第3子出産で学生ローンは全額免除
- まさにフェミニストの理想の国といった様相
- しかし、首相のオルバンはフェミニストではない
- むしろ、極右の独裁者に近い
- ハンガリーの少子化対策はフェミニズム的な女性優遇政策ではなく、「純粋なハンガリー人」を多く作り出す為の愛国的・民族主義的・富国強兵のニュアンスが強い
- リベラリストやフェミニストが理想とした社会をそれらの人々が蔑むナショナリスト・右派・独裁者という属性の人間が達成したことは皮肉しか言いようがない
民主主義国家の光と影
- 現代社会で絶対善とされるリベラル思想
- そのリベラル思想がパンデミックによって限界を晒した
- 全体主義的な監視社会がパンデミック下での感染症封じ込めでは有効に機能した
- パンデミックによってこれまで絶対善とされてきたものに疑問符が付けられた
- 一方、これまで絶対的な悪とされてきた思想にも優れた点ががあると再評価されることになった
[第1章] 5 共鳴するラディカリズム
- [WIP]
[第1章] 6 リベラリズムの奇形的進化
不寛容なリベラル?
- 今日の「リベラル」を標榜する人々は、原理原則的な自由の重要性を謳う一方、自分にとって都合の悪い自由については極めて否定的・抑圧的である
- 基本的人権を擁護する素振りを見せながら、己にとって望ましくない・不快感を覚える他者の権利は矮小化・無化したがる
- 多様性を尊びながら、極めて画一的な価値体系への恭順を求める
- 寛容性を説きながら、異なる価値観や政治観に対しては排除を正当化したがる
- 社会的包摂を訴えながら、自分のイデオロギーと対立する者に対しては物理的・精神的な攻撃を仕掛けて社会的な追放を企てる
- 昨今の「リベラル」は「リベラル」とは名ばかりの矛盾に満ちた排他的なファシストに成り果てている
- [MEMO]
- 「リベラル」に多様性が殆ど存在せず、画一的な教義めいた価値観への服従や意見の対立する者へ対する強い攻撃性などは全体主義の空気を感じてしまう
[第2章] 1 キャンセル・カルチャー
- [WIP]
[第2章] 2 NIMBY
- [WIP]
[第2章] 3 排除アート
- [WIP]
[第2章] 4 植松聖の置き土産
- [WIP]
[第2章] 5 輝く星の物語
- [WIP]
[第2章] 6 闘争と融和
- [WIP]
[第3章] 1 ルッキズム
- [WIP]
[第3章] 2 マッチングアプリに絶望する男
- [WIP]
[第3章] 3 健やかで不自由な世界
- [WIP]
[第3章] 4 自由のない国
- [WIP]
[第3章] 5 置き去り死
- [WIP]
[第3章] 6 死神のルーレット
- [WIP]
[第4章] 1 親ガチャ
- [WIP]
[第4章] 2 子育て支援をめぐる分断
- [WIP]
[第4章] 3 能力主義
- [WIP]
[第4章] 4 低賃金カルテル
- [WIP]
[第4章] 5 キラキラと輝く私の人生のために
- [WIP]
[第4章] 6 平等の克服
- [WIP]
[第5章] 1 子ども部屋おじさん
- [WIP]
[第5章] 2 暗い祈り
- [WIP]
[第5章] 3 きれいなつながり
- [WIP]
[第5章] 4 搾取者であり、慈善家であり
- [WIP]
[第5章] 5 共同体のジレンマ
- [WIP]
[第5章] 6 疎外者たちの行方
- [WIP]
終章 物語の否定
- [WIP]