朝日ぎらい(橘玲)
書籍情報
- 著者:橘玲(著)
- 発行日:2018-06-30
- ISBN:9784022730923
- URL:https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20117
書籍目次
- まえがき
- PART1 「リベラル」と「保守」が逆転する不思議の国
- 1 安倍政権はリベラル
- 若者の「右傾化」は教育が悪いのか
- 不思議の国のアリス
- 変わらなければ生き残れない
- 3人の「ポピュリスト」
- 右傾化する「リベラル」政党
- 安倍政権は旧民主党のコピー
- 「一億総活躍」以外にどうしようもない社会
- 「リベラル」の欺瞞
- 2 リベラル化する世界
- 三位一体の巨大な潮流
- 「右傾化」というバックラッシュ
- アメリカでは「人種差別」は減っている
- 今の男性は1970年代の女性よりフェミニスト
- リベラルは勝利したことで敗北する
- 日本でも「リベラル化」は進んでいる
- 1 安倍政権はリベラル
- PART2 アイデンティティという病
- 3 「ネトウヨ」とは誰のことか
- 非マイノリティポリティクス
- 「白人至上主義者」はネトウヨ
- 「人種差別」をしないレイシスト
- 「絶望死」する白人たち
- 日本人アイデンティティ主義
- 「在日認定」とはなにか
- 離島は「乗っ取れる」か
- 誇るものの価値
- 4 正義依存症と愛国原理主義
- 「俺たち」と「奴ら」
- 「正義依存症」のひとびと
- 「愛と絆」による差別
- 思想的リーダーの誕生
- 右派論壇のポストモダンとエンタメ化
- 右派論壇の「愛国原理主義」
- 愛国の哲学者
- 右翼と「愛国リベラル」
- 「加害」と「被害」の非対称性
- “右傾化”の正体
- 3 「ネトウヨ」とは誰のことか
- PART3 リバタニアとドメスティックス
- 5 グローバルスタンダードの「リベラル」
- 「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」
- ダブルスタンダードの罠
- リベラルの「理想社会」
- リベラルを懐疑する「保守」
- 無知のヴェールと「格差原理」
- チンパンジーにも「正義」はある
- 4つの政治思想
- サイバーリバタリアン
- 知性主義と反知性主義
- 6 「保守」はなぜ「リベラル」に勝つのか
- チキンで性行為をすることは許されるか
- 6つの道徳基盤
- 「保守派部族」と「リベラル部族」
- アイデンティティとしての政治
- ビヨンセはなぜアメリカ国歌を歌ったのか
- グローバル空間の「リベラル共和国」
- 「安倍一強」の秘密
- 5 グローバルスタンダードの「リベラル」
- PART4 「リベラル」と「保守」の進化論
- 7 きれいごとはなぜうさん臭いのか
- ニューリッチはリベラルの牙城
- 道徳の貯金箱
- 「きれいごと」はなんにでも使える
- 潜在的な偏見を可視化する
- 8 リベラルはなぜ金持ちなのか
- 政治的態度の遺伝率
- 知能と政治的態度の相関
- ネオフィリアとネオフォビア
- 雑食動物のジレンマ
- 3歳児の「リベラル」と「保守」
- 「リベラル」と「保守」の遺伝子を探す
- イデオロギーは匂うか
- 「リベラル」が嫌われるほんとうの理由
- 7 きれいごとはなぜうさん臭いのか
- エピローグ サイバー空間のイデオロギー戦争
- あとがき
1 安倍政権はリベラル
安倍政権の支持層
- 安倍政権は若い男性の支持率が高い
- 老人ほど反安倍
若者に安倍政権支持派が多いのは教育の失敗か?
- 政治的態度は教育とは関係ない
- 政治的イデオロギーは学校以外の場所で育まれる
- [MEMO]
- 「正しい教育」をすれば自分と同じ思想に育つという発想が既に醜悪極まる
若者と老人で「リベラル」の認識が異なる
- 今の若者は共産党を「保守」、維新を「リベラル」、自民党を「中道」と捉えている
- かつて「リベラル」とされてきた政党・集団が時と共に「保守化」したことが原因
- 50代以上の人間にはネオリベが右翼に見え、40代以下の人間にはオールドリベラルが「保守」に見える
- 安倍政権への評価が若者世代と老人世代ではっきり分かれるのは、それが「改革」に対する世代間対立であるため
安倍政権がリベラル化する理由
- 右(保守、右翼)側にライバルがおらず、現状保守・右翼的な支持層は総取りである為、更に勢力を拡大すべく左(リベラル、左翼)の取り込みを目指しているため
民主党(民進党)が中途半端に見える理由
- 基本路線はリベラル
- 右の人々からは盛大に嫌われている
- 更に左には共産党が存在しており、支持層自体が薄い
- 結果、明確な個性を出すことができず党も維持できず爆発四散することになった
- [MEMO]
- 結果的にはその後共産党と歩調を合わせることになった
- 将来的には緩やかに共産党に吸収されていく可能性が高い
安倍政権は独裁か
- 安倍政権の「右傾化」と評される政策の多くは安全保障に関わるもの
一億総活躍の本当の事情
- 単純にそうしないと社会制度が維持できなくなっている為
- 年金や社会保険が崩壊しつつあるので女性でも老人でも労働力として使う必要が出てきた
日本のリベラルの欺瞞
- リベラルを自称・構成する人々の多くが中高年の男性である為、その人々の既得権益に縛られている
- 差別を批判しながら、自らも差別する社会構造の一部になっており、それを是正しようとはしない(既得権益を手放させないため)
2 リベラル化する世界
日本は左右は混乱している
- 日本の近現代史のターニングポイントは明治維新と太平洋戦争敗北
- いわゆる保守層は明治維新後の富国強兵的な伝統を重視
- リベラルは敗戦後の「平和憲法」を重視
- しかし、小泉政権以降の自民党は安全保障は保守寄り、経済政策はリベラル寄りになった
- 結果、「右」と「左」の関係が混乱した
- [MEMO]
- その区別でしか考えられない時点で視野や解像度に問題は無いだろうか?
- 就職氷河期世代以降は懐古趣味的な伝統ではなく、現実的な問題・脅威への対策を要望しているように思える
世界はリベラル化している
- 現代社会は次の要素が相互に関連し合って社会全体を変容させている
- (1) 知識社会化
- (2) グローバル化
- (3) リベラル化
- 更に現代社会のビジネス環境は勝者総取りの性質が強い
- 加えて、市場もグローバルに広がっている(世界中の人間が潜在的顧客になるので人種差別が経営的リスクになる)
- したがって、企業は有能なら人種・国籍・性別を問わず、有能な人材を採用するインセンティブが働く(人種で選んでいると有能な人間を取りこぼすリスクが無視できない)
- シリコンバレー型の「リベラル」は普遍的な人権を前提にして、グローバル市場から有能な労働者を「平等」に採用し、開発した製品をグローバル市場に提供する
右傾化というバックラッシュ
- 反知性主義/グローバリズム批判/保守化は行き過ぎた知識社会化/グローバル化/リベラリズム化に対するバックラッシュ(反動)
- 知識社会化はその性質上、知能の高い人が大きなアドバンテージを持つ
- 一方、知能の低い人は取り残される事が避けられない
- これが知識職業に従事していない層を怒らせる
- [MEMO]
- 何よりの問題として、知識層/リベラル層はそのような一次産業・二次産業・サービス業に就いている人達を内心見下していること
- 彼・彼女らがいないと生活が成り立たないのにそこには目を背ける傲慢さが嫌われている
アメリカでは人種差別は減っている
- 1900年以降、人種差別を理由にした凶悪犯罪は一貫して減少傾向
- 社会的にも人種差別は許されないという空気が支配的
- テロが発生しても一般人がそれを理由にした特定民族への報復に走るような事はレアケース
- [MEMO]
- 本当だろうか?
- まぁ、一般的なことではないか
今の男性は1970年代の女性よりフェミニスト
- 古代〜近代までは女性は父親か夫の所有物だった
- レイプは父・夫の「所有物」を害した事に対する罪であり、女性自身に対する罪では無かった
- 夫から妻への暴力も同じく(所有物への暴力は罪ではなかった)
- しかし、現代ではほぼ受け入れられる考え方ではない
- 「女は良妻賢母を目指すべきか?」という質問に対して、現代の男性の方が1970年代の女性よりも否定的だった(自立、自由に生きるべき)
リベラルは勝利したことで敗北する
- 権利革命の潮流:
- 子供への体罰は虐待と見なされるようになった
- 若い世代は他人の性的指向が異性愛・同性愛であるかを気にしなくなった
- 動物に対する愛護精神が亢進し、捕鯨/狩猟/動物実験に対する忌避感が強くなった(ついでにベジタリアンも増えた)
- 右傾化しているというがいわゆる「保守的」な人でも上記のような問題については否定・反対する人は少ない
- リベラル思想は善悪のはっきりした問題に対しては効果を上げる(人権問題など)
- 一方、簡単には善悪がはっきりしない問題(利害関係が複雑な問題)には効果が薄い
- リベラル化は大きな問題では勝利するが、より個別具体的な問題では敗北する
- [MEMO]
- 認知閾の問題っぽい
- 勢いで騒げば解決する問題(人権問題)には有効というのは確かに
- 大義名分がある戦いにはテンション上がって追随する人も増えるから社会問題化しやすいというのもある
- 結局ポピュリズムの親戚みたいなものという感がある
- 結果として、かわいそうランキングとかポリコレカードバトルみたいな喜劇が発生する
日本でもリベラル化は進んでいる
- 日本国民の大半は国粋主義/天皇制/明治時代風の保守的価値観には無関心・冷淡
- 伝統的価値観(古くからの不合理なしきたり)に対しても同様に冷淡・批判的
- 基本的には自由と平等は当然のものであるという認識が一般的
- マスコミや左派は日本の右傾化が進んでいると言っているがそれは正しくない
3 「ネトウヨ」とは誰のことか
何故朝日は嫌われるのか?
- 社会の高齢化に伴い、「リベラルの保守化」が顕著になり、むしろ既得権益層になった為
「ネトウヨ」のステレオタイプ
- 定職を持たないか、非正規で低賃金労働に従事する貧しい若者が社会に対する憎悪を韓国や中国、在日や朝日にぶつけている
- ただし、これには根拠がない
- [MEMO]
- ネトウヨを嫌悪している側の「こうであって欲しいな」という願望でしかない感じはある
- つまりはヘイトであり、無職や非正規労働者、貧乏人に対する差別意識が透けて見えるのが興味深い
- 身バレした自称リベラルやフェミ騎士を見るとアンチネトウヨ側にも弱者男性が多いのは皮肉が効いている
- 自己投影である可能性もそれなりにありそう
現実のネトウヨ
- 排外主義運動の参加者には大学卒やホワイトカラーのサラリーマンも多い
- [MEMO]
- 例えば、フジテレビ抗議デモは「強い思想を持つ中年男性」もそれなりにいたが、一方で主婦や若者の参加者も多かった
- 後期には主婦との出会いの場になっていたが、その程度には社交性・経済的余裕のある「普通」の人が参加していたという事でもある
- フジテレビ抗議デモ - Wikipedia
SNSやニュースサイトのコメント欄からの分析
- ヘイト発言のコア層
- 一週間に100回以上コメントする
- 1%の投稿者がコメント全体の20%を占める
- 年齢層は40代が中心
- 積極的にコメントする者に加えて、そのコメントに「いいね」を押す賛同者は更に多い(無言の賛同者層)
- [MEMO]
- 30代後半以降は会社で無能だと判断されると露骨に期待されなくなり、大した仕事も回されないので暇な時間が増える
- 解雇規制が厳しい為、無能社員を解雇できず飼い殺し状態になっている会社(と社員)は多い
- 一日中ヤフーニュースのコメント欄や掲示板、SNSに張り付いているのはそういう層である可能性が高いのでは
- これは「ネトウヨ」に限らず、左翼界隈も同じだと考えられる
- 勿論、世を拗ねた無職ひきこもりもいる
- 例: 会社の回線で一日中レスバをやっていた朝日新聞社員、共同通信の桜ういろう、色盲絵師こと岡くん、フェミ騎士シュナムルetc...
ネット世論で盛り上がるテーマ
- (1) 韓国、中国に対する憤り(嫌韓、嫌中意識)
- (2) 「弱者利権(立場の弱さを利用して権利を主張、利権を獲得する)」認識に基づくマイノリティへの違和感
- (3) マスコミに対する批判
- [MEMO]
- それらの話題がアンタッチャブルで公論化できていないという点がネットで盛り上がる理由だろう
- マスコミはそれらに触れないし、それに触れる者を「ヘイト」「排外主義者」とレッテルを張って無視を決め込めんでいれば反発が生まれるのは当然である
- 更に同和利権を思えば弱者利権など無いという態度は知性に問題があるか、不誠実な議論姿勢であるとの批判は受けて然るべきである
ネトウヨの動機
- 主要な動機は「嫌韓・嫌中」よりも「弱者利権」
- ネトウヨは少数派(マイノリティ)の権利の訴えを利権獲得運動だと考える
- [MEMO]
- 再び同和利権を持ち出すまでもなく、利権団体・利権運動と見なされても仕方のない連中は多いわけだが
- そもそも新たな社会的合意を作るというのは摩擦や対立が生じて当然だし、そこから妥協点を探るのが本来の在り方なのでは?
- そこで上から目線で「お前達は差別主義者で頭が悪いのだから意見を無視されても当然。黙って弱者に頭を下げろ」と言われて素直に従うと考える方がどうかしている
ネトウヨの嫌韓・嫌中意識
- 歴史修正主義やナショナリズムの問題よりも戦時の話を何度も蒸し返してくる事への苛立ち
- 慰安婦問題、戦争責任、戦後補償、植民地支配etcについて連中にいくら謝罪しても結局話を蒸し返して謝罪と賠償をタカリにくるという認識
- [MEMO]
- これは自体は事実なのでは?
ネトウヨは弱者利権が嫌い
- 中韓がやるような弱者利権ムーブを嫌悪しているので、似たような臭いのするものにも反応する
- 例: 少年法、生活保護、ベビーカー、LGBT、沖縄、障害者etc...
- [MEMO]
- 雑な議論だ
ネトウヨは従来のリベラル的な「マイノリティ・ポリティクス」を嫌う
- つまりは反ポリコレ
- 自分達は多数派だが、少数の弱者に抑圧されているという意識
- 弱者利権によって少数の「弱者」が利権をほしいがままにし、自分達が被害を被っているという倒錯した認識
- [MEMO]
- 利害が衝突していて、政治的・道徳的優位のような謎の理屈で意見が退けられるならそれは抑圧なのでは?
- 自分に何のメリットも無いのにいきなり制約を受けて喜ぶ者はいないだろう
- 結局、「自分には影響が無いので鷹揚にしていられるだけ」なのではないか?
マスコミを「マスゴミ」と揶揄する理由
- これも反ポリコレ
- [MEMO]
- 雑な議論だ
- 重要な論点は「ダブルスタンダード」にあるように思うが、意図的に無視しているのだろうか?
4 正義依存症と愛国原理主義
5 グローバルスタンダードの「リベラル」
6 「保守」はなぜ「リベラル」に勝つのか
人間の道徳心は感情論でしかない
- 例1: ある家族が飼っていた愛犬が自宅の前で車に轢かれて死んだ。犬の肉は美味しいと聞いていたこの一家は死骸を切り刻んで料理し、こっそりと食べてみた。
- 例2: ある男は週に一度スーパーでチキンを買う。それを使って性行為に耽った後、料理して食べる。
- 「ふつう」の感性を持つ人は上記のストーリーに対して、強い嫌悪感と倫理的・道徳的に許されないという感想を覚える
- しかし、「何故、道徳的に許されないのか?」という問いには論理的に答えることができない
- 犬の件は、犬は既に死んでいるので食べる為に解体しても犬の苦痛はない。更に家族は犬の正当な所有者なので、その死骸をどのように処理しようと自由である
- チキンオナニストの件は、スーパーで代金を支払って購入したものである以上、その扱いは購入者であるチキンオナニストの自由である
- 論理的にはこれらの行為に問題はないが、倫理的・道徳的には酷く間違っていると感じてしまうのが人間(つまり感情の問題)
- 人間は理屈では説明できない道徳(モラル)に従って生きていて、感情で物事への態度を決めている
功利主義における危害原理
- 他人の行動の自由に干渉することが正当化できるのは自衛を目的とする場合と他人に危害が及ぶのを防ぐ場合のみ、という考え方
WEIRD(奇妙な)
- 下記の文化の中で育った人々
- Western(欧米)
- educated(啓蒙)
- industrialize(産業化)
- rich(裕福)
- democratic(民主的)
WEIRDな人々の考え方
- 世界は関係性の網の目ではなく、個々の物の集まりである
- 要するにお互いに相互作用を及ぼし合う共同体ではなく、個別の存在がたまたま存在しているだけ的な発想
西洋の個人主義と東洋の集団主義に関する考え方
- 社会心理学において提唱される西洋と東洋、それぞれの社会に対する評価
- 東洋は集団主義で統治するスタイル
- 西洋は個人主義、ルール志向的、普遍主義的な統治スタイル
- しかし、これは被験者の多くがWEIRDが占めていた為、導出された?
- [MEMO]
- 大学で社会学の実験をする際はまず学生を被験者にすることが多い(一般人に募集を掛けるより圧倒的に安価かつ確実に被験者が集まる)
- しかし、これは裏を返すと「特定の大学の特定の学問に興味や選好がある人間」に被験者が偏っていたのではないか?ということ
ハイトによる人間の道徳基盤
- (1) ケア/危害: 子供(家族)を保護し、ケアする/弱い者を守る
- (2) 公正/欺瞞: 協力する者に報い、不正を働く者を罰する
- (3) 忠誠/背信: 共同体の結束を強める/仲間意識、愛国心
- (4) 権威/転覆: 階層の中で(上位や下位の者と)有益な関係を結ぶ/支配と服従
- (5) 神聖/堕落: 不浄なものを避け、精神や身体を清浄に保つ/宗教意識
- (6) 自由/抑圧: 自由と私的所有権を尊重する
道徳の捉え方は右派/左派で異なる
- 右派: 自分達の子供や家族を守る
- 左派: 虐げられている全ての子供を守る
保守派がリベラルを圧倒する理由
- 保守派の政治的主張は安全、公正、自由、共同体、権威、宗教という6つの道徳を全て備える
- リベラルの政治的主張は安全、公正、自由しか持たない
- したがって、保守派の政治的主張の方が一般人には魅力的に映る
- [MEMO]
- リベラルは共同体、権威、宗教という要素を無視するが、一方でそのようなものによって社会が構成されている側面も事実である
- 同じ社会に住まう以上、ある程度それらが提供しているものに依存している部分があるにも関わらず、それらを無視する幼稚さや意識が高いだけの空虚さを感じる
- そういえば、現代社会の物流網に依存していながらミニマリストを気取る朝日新聞の社員もいた
リベラルは安全と公正の概念を拡大する
- 自分や家族の安全と同様に世界の虐げられた人々の安全も大切だと考える
- 更には食用の家畜や実験用の動物にも人間同様の権利があると主張する
- 機会平等は当然であり、(共産主義までは望まないにしても)結果平等であることも重要だと考える
- [MEMO]
- この辺りがリベラルがお花畑と言われる所以
- 無限にリソースがあるなら全世界を救済対象にしてもよいが、現実にはリソースには限りがある
- その限られたリソースをどのように分配するべきか? を考えるのが政治
- 限られたリソースを「全ての虐げられた人々」の為に使おうとなると「我々やその家族」の取り分が減るだろ馬鹿という構図
- リベラルは一見正しいことを言っているように見えるし、万人を救うことは可能ならそうすべきではある
- しかし、現実問題全員を救うだけのリソースは無い以上、費用対効果や優先順位を考えなくてはならない
- リベラルはその厳しい現実から目を背けるので頭がお花畑と揶揄されてしまう
自由主義者(リバタリアン)とリベラルの対立
- 自由主義者は「自由」の価値を重視
- 圧政や独裁からの自由と同じく「大衆からの抑圧」からの自由も重視
- その性格上、結果平等に対しては批判的
- 例えば、黒人だからという理由で優遇されるのは他人種の権利を侵害しているので悪いことだと考える
- リベラルは「黒人は歴史上ずっと抑圧されてきたのだから優遇されて然るべきだ」と考える
- 自由主義とリベラルはこのような部分で対立しがち
- [MEMO]
- 「かわいそうランキング」による恣意的な保護・優遇に走りがちな点もリベラルの問題
- 「誰を保護するか・しないか」を何故お前らが決めるのか? という批判は真っ当だろう
- 勿論、それは保守派にも刺さる批判である
右派と左派の対立の原因は部族主義
- 人間は社会的な動物
- 政治思想のような抽象的な問題の対立であっても「俺たち」「あいつら」の構造に落とし込み、無意識のうちに「俺たち」を善、「あいつら」を悪と定義する部族主義で理解しようとする
- リベラルと保守の対立は部族抗争
- [MEMO]
- これは正しい
経済学的に見ると選挙は割に合わない
- 一般的な市民が国政選挙に投票に行くのは費用対効果や個人の一票の影響度を考えると割に合わないし、直接的な実利があるわけでもない
道徳心理学による解釈
- 人間は自分の党派性を確認する為に投票に行く
- 自分の所属する勢力の「正義」を再確認する為に投票に行く
- [MEMO]
- ある種の儀式であるという見解は理解できる
世界規模で見るとリベラルが保守に優越する理由
- 国内レベルでは保守派はリベラルを圧倒する
- 一方、世界規模で見るとリベラル思想は国家を超えた普遍的な思想になっている
- したがって、世界規模で見るとリベラル思想を支持する人の方が多くなるので局所的な思想の保守思想はリベラル思想に勝てなくなる
- [MEMO]
- 要するにグローバリゼーションの考え方である
- とは言え、それは「お前の土地では自由にさせろ」「俺の土地では俺に従え」というダブルスタンダードを生み出しているのも事実である
- それが公平・公正な在り方なのか? という点は疑問が残る
- 誰だって海外に行って差別されたくないし、不当な扱いは受けたくない。だからリベラル思想を支持する、というのは理解できる
- 一方で、その思想を自分達の国でも厳格に適用できるのか?
- あるいは、適用した結果が失業率の上昇や格差の拡大に繋がったのではないか?
アメリカの大学におけるリベラル
- アメリカの大学は基本的にリベラルな雰囲気が主流
- そこに入学する学生もリベラル志向
- 知識社会、グローバル社会、リベラル思想に適応した人々
- [MEMO]
- 要するにエリート層
リベラルを利用する保守派
- 保守派はリベラル派を売国奴と罵ることがある
- 一方で、中国の民主化運動は応援する
- このように保守派は敵の敵は味方としていつもは敵視しているリベラル思想を利用しようとする
- [MEMO]
- 朝日新聞社員向けのリップサービスかもしれないがこれは誤認がある
- 街宣右翼レベルの阿呆でも無い限り、普通に社会活動を営む人々は基本的にリベラル思想に反対の立場を取ることはない(反対する理由がない)
- 問題になるのはその社会実装における不備であったり、リベラル思想にかこつけて行われる偽善だったり、国内産業の衰退という実際的な不利益に対してである
- リベラル思想という雑な切り口でそれが絶対正義であるかのようなゴリ押しに不審を感じているというのが実際のところだろう
世界の価値観はリベラルになっていく
- 現代の社会は「リベラル」という価値観を共有する巨大な単一国家になりつつある
- 保守派はその国固有のローカルな価値観でしかなく、そこにしがみつくのは少数派になっていく
- [MEMO]
- その「リベラル」に公平や公正が担保できるのであれば誰も文句を言わないのである
- 問題は「リベラル」な人々が自分を「正義」の側にいると考えてソーシャルジャスティスウォリアーになっていたり、バラモン左翼化してしまう点にある
- また、ロシアや中国など「リベラル」から程遠い国々が世論工作の為に過剰なリベラル思想をプロデュースしている疑惑も考慮しないといけない
- そこから目を逸して「リベラル万歳」と叫ぶは流石に知性に疑問符を付けられても仕方無い
7 きれいごとはなぜうさん臭いのか
差別と内心と自己批判
- 差別を無くそうとする教育的努力は必然的に個人の内面に介入する
- しかし、差別やその元になる生理的嫌悪感は生得的なものである(つまり、差別意識からは逃れられない)
- この矛盾を解決しようとすると、次の2つの行動に走る
- (1) 自分を不道徳な存在だと断罪する
- (2) 差別そのものを正当化する
- 自分を「不道徳な存在」と断罪した者は、その感情を他者に投影するようになる
- あらゆる「差別」を血眼になって探し回り、「差別者」を糾弾するSJWになる
- 差別を正当化した者は「差別批判」を偽善と唾棄し、自己正当化に使えるあらゆる理屈にしがみつく(陰謀論とか)
- [MEMO]
- 自分を不道徳な存在とする考え方、キリスト教カトリックの思想を感じる
- 差別を自己正当化するというのも、「リベラルな我らは正しい存在だ。一方、保守派は低劣なクズである。差別は良くないが彼らはリベラルを否定するので仕方なく我々は彼らを差別する」的なリベラルロジックを思い出させる
ニューリッチとリベラル
- スーパーZIP=金持ちが特に多く集まる地域
- ワシントン、ニューヨーク、サンフランシスコ(シリコンバレー)、ロサンゼルス、ボストンなど
- ワシントンはアメリカの首都であり、国家機関やシンクタンク、コンサルタントが多く住む
- ニューヨークは金融
- シリコンバレーはIT産業
- ...というように高収入かつ知識社会の強者(ニューリッチ)が集まる
- そして、ニューリッチは総じてリベラル派
- [MEMO]
- アメリカの知識層はモノカルチャー(リベラル一色)という話は以前からあった
アメリカ分裂の真相
- 新上流階級たるスーパーZIPの住民とラストベルトのブルーワーカーの対立
- つまり、金持ちと貧乏人の争い
道徳の貯金箱
- 人間は善悪の行為を取引だと捉えている
- 善行を行ったら多少悪いことをしてもノーカンと自分を正当化する