参謀の教科書(伊藤俊幸)
書籍情報
- 著者:伊藤俊幸(著)
- 発行日:2023-04-19
- ISBN:9784575317947
- URL:https://www.futabasha.co.jp/book/97845753179470000000
書籍目次
- はじめに
- 第1章 参謀は「最強の部下」である
- 初代防大学長が訴えた「理性ある服従」
- あなたは「訓令」で動けるか?
- リーダーを陰で支える参謀
- 参謀を体系的に育てる自衛隊
- RIMPAC98で成果を上げられた理由
- 正しいフォロワーシップとは
- 参謀の三大能力は「提案力」「対人力」「危機管理能力」
- Column 部下の提案からはじまったソマリア派遣
- 第2章 【提案力/基礎編】科学的思考をしよう
- 防大生に求められる科学的思考力
- ファクトにこだわる
- ロジックにこだわる
- 意思決定の仕方には「型」がある
- 【任務の明確化(1)】すべては使命の分析からはじまる
- 【任務の明確化(2)】レイテ沖「謎の反転」はなぜ起こったのか?
- 【情報の分析(1)】マーケティングリサーチ
- 【情報の分析(2)】情報整理のコツは「分ける」こと
- 【情報の分析(3)】情報見積は「相手の立場」で考える
- 【最善の行動指針の決定(1)】取りうるアクションを列挙する
- 【最善の行動指針の決定(2)】判断基準を絞って比較する
- Column 困った時は「51:49」の法則
- 第3章 【提案力/応用編】最高のブレーンを目指す
- コンセプチュアルスキルのプロになろう
- 物事の本質を見抜こうとする意思が重要
- 推論力を高める
- 上司の意図をいかに汲み取るか
- 「スタンダード」を疑え!
- アイデアは「組み合わせ」で生まれる
- 短期的に視野を広げる方法
- Column 指揮官と参謀を行き来する幹部自衛官たち
- 第4章 【対人力】組織で活かされるには「礼節」が必要
- 能力と人格の両方を重視する自衛隊
- 最低限の礼節を心掛けよ
- 陸海空による「礼節の度合い」の違い
- 上司が判断ミスをしそうなときの対処法
- ステークホルダーへの事前報告
- 目利き力の鍛え方
- 「ボス・マネジメント」という考え方
- 「上司が怖い」と感じる人へのアドバイス
- ANA(全日空)のアサーション
- Column 「ホウレンソウ」より「レンソウ・ホウ」
- 第5章 【危機管理能力】プランとプランニング
- 危機のときこそ「参謀の真価」が問われる
- リスク・マネジメントの基本となる2つの考え方
- リスクの定義と分類を考える
- リスク・マネジメントの手順
- 【リスク・アセスメント(1)】リスクを洗い出す
- 【リスク・アセスメント(2)】リスクの評価・分析
- リスク対応には4種類ある
- BCP(事業継続計画)とはなにか
- 軍事組織が「頭上演習」にこだわる理由
- 自立自走型組織に不可欠なOODAループ
- Column リスク・マップをエクセルで作る方法
- 第6章 正しき参謀がよきリーダーになる
- 正しいフォロワーこそよきリーダーになる
- マネジメントとリーダーシップの違いはなにか?
- マネジメントとリーダーシップを使い分ける(SL理論)
- 部下の発達ステージを捉える
- 人情派か? 成果主義派か?(状況即応理論)
- サーバントリーダーシップ
- S1に対する指導の基本は「やってみせ」
- 部下と交わした「交換日記」
- 「知情意」をバランスよく身に付けよう
- おわりに ――若いころの挫折が私を変えた――
第1章 参謀は「最強の部下」である
- 理性ある服従
第2章 【提案力/基礎編】科学的思考をしよう
科学的思考力
- 場の空気やこれまでの慣習に引きずられるのでなく、自分で科学的に考える
- 事実を認識できる力
- 物事を考える時はファクトとロジックの両方にこだわる
ファクトにこだわる
- 二次情報は誰かの主観や思惑で歪められがち
- 一次情報にこだわる
- 情報の裏付けが取れない場合は仮説駆動で考える
- 仮説を立て、その仮説を証明するという順番で物事を考える
論理的思考力の鍛え方
- (1) 結論と論拠を簡潔に述べる
- (2) 接続詞にこだわる
6割の法則
- 人は思っていることの6割しか言葉にできない
- 人は聞いたことの6割しか理解できない
- したがって、人間は口頭では4割未満しか情報を伝えることができない(0.6 * 0.6 = 0.36)
- 大事なことを口頭で伝えようとするのは逆にハイリスク
作戦計画立案の手順
- (1) 任務の明確化
- なんのためのそれをするか
- 期日は?
- 目的は?
- (2) 情報の分析
- 相手の状況はどうなっているか?
- (3) 最善の行動方針の決定
- 自分がとるべき行動はどれなのか?
- (4) 文章化による伝達
- 正しく命令が伝わるか?
- (5) 実施の監督と連続情勢判断
- 正しく命令が実行されているか?
- 環境条件は変わっていないか?
- 正しく命令が実行されているか?
手順(1): 任務の明確化
- 作業の目的を分析する
- 使命の分析:
- 自分が今から着手する仕事が全体の中でどんな意味を持つのか
- どのようなアウトプットが求められるのか
- 上記を着手前に分析すること
- 目標系列
- 目的
- 目標
- 手段
手順(2): 情報の分析
- 海上自衛隊の情報分析手法
- (1) 地域情勢や敵の情報を集め、整理し、分析する
- (2) 敵の可能行動(取り得る行動)を列挙する
- (3) その中から、敵がどの行為を取るか見積りを行う
- 情報整理のコツ
- 大量の情報はとりあえず「分ける」
- グルーピングしてみる
- KJ法とかそういう類の話
- 敵の可能行動
- 敵の取り得る行動の分析
- その意思決定に影響を与えるファクターの分析
- 相手の立場になって考える
- 相手の行動
- 能力 * 意図
- 脅威度の評価
- 能力があっても敵対する意図がなければ無害など
手順(3): 最善の行動指針の決定
- 取り得るアクションの列挙
- 思考の起点は「敵の可能行動」
- ↑を基準に自分の行動を考える
- 敵の行動が複数ある場合は自分の行動も複数考える
- いきなり結論を出してはいけない
- まずは取り得るアクションの列挙
- 判断基準を絞って比較
- アクションの選択肢が出揃ったらそれらを比較する
- 判断基準の3点
- (1) 適合性
- 使命と適合しているか
- (2) 可能性
- 自分の能力やリソースで遂行可能か?
- (3) 受容性
- 予想される損失は受容可能か
- 費用対効果は妥当か?
- (1) 適合性