正義とは何か
書籍情報
書籍目次
- はじめに ――いま、なぜ過去の正義論を見直すのか?
- 序章 正義論のさまざまなパターン ――本書のねらい
- 正義の一般的な性質
- 正義論を分類するための二つの基準
- 正義の「内容」に関する四つの倫理学説
- 嘘をつくことはなぜ不正なのか?
- 正義の「対象」に関する四分法
- 「対象」による四分法の意義
- 第一章 正義とは魂の内部の調和である ――プラトン
- 導入的考察 ――正義とは何でないのか
- 「魂の正義」と「ポリスの正義」のアナロジー
- プラトンの正義論の特徴
- 第二章 正義とは他の人々との関係において現れる徳である ――アリストテレス
- 「ニコマコス倫理学」の概要
- 正義の対他性
- 特殊的正義の三種類(あるいは二種類)
- 「衝平」という独特の正義
- 「不正行為」と「不正な人」の関係
- アリストテレス正義論の特徴
- 性格と行為との四つの関係
- アリストテレスによる人間の四分法
- 徳倫理学の長所と短所
- 徳倫理学とコミュニタリアニズム
- 第三章 正義とは相互の利益になる契約を実行することである ――ホッブズ
- ホッブズの自然状態
- たくさんの「自然法」
- ホッブズは「性悪説論者」か?
- 「リヴァイサン」の国家
- ホッブズは「社会契約論者」ではない
- 第四章 正義とは自然権の保護・実現である ――ロック
- ホッブズとロックの社会契約の相違
- ロック以前の所有権論
- ロックの労働所有論
- 労働所有論の論拠
- ロック正義論の普遍的性質
- 第五章 正義とは慣習によって生じた財産権規則を守ることである ――ヒューム
- 財産法にとどまるヒュームの正義
- 「コンヴェンション」とは何か
- 正義の状況
- ハートの「自然法の最小限の内容」
- ヒュームの徳倫理学と帰結主義・契約主義
- 第六章 正義とは非難が適切であるということと権利の保護である ――スミス
- 「共感」の意味
- 正義感覚の発生
- 正義の重要性とその内容
- スミスの「法学講義」
- 普遍的観察者とはどんな人か?
- 道徳感情は社交の中で生まれる
- 共感は道徳の全領域で必要か? また十分か?
- スミスの正義論の全般的特徴
- 第七章 正義とは「定言命法」に従うことである ――カント
- カントの「正義」の用法 ――「人倫の形而上学 法論」における
- 道徳的な正義と法的な正義
- 「善意志」だけが内在的価値を持つ
- カントの二元論的発想
- 親切や名誉心から出た行為には道徳的価値がない?
- 定言命法の定式
- 実例としての四種類の義務
- 三つの定式の批判的検討
- 普遍的法則の定式のパーフィットによる改良版
- カントの定言命法は命令だけでなく許容も含みうる
- 「人倫の形而上学 法論」における適法性と道徳性と強制
- 「法の普遍的原理」と万人の平等な自由
- 「人倫の形而上学 法論」の各論
- スペンサーの「第一原理」あるいは「正義の定式」
- 「人倫の形而上学」の評価
- カント倫理学全体をどのように分類し評価するか?
- 第八章 正義とは功利の原理に役立つ「かもしれない」ものにすぎない ――功利主義
- ベンサム「道徳および立法の諸原理序説」における正義
- ミル「功利主義」における正義
- ミル「功利主義」の難点
- 「自由論」はどれだけ功利主義的か?
- シジウィック「倫理学の諸方法」における正義
- 功利主義にとって正義は邪魔もの
- 効果的利他主義
- <幸福の最大化>よりも<不幸の最小化>
- 第九章 正義とは社会制度の第一の徳である ――ロールズ
- ロールズの「正義の二原理」
- ロールズ正義論の対象
- 社会の基礎構造と「無知のヴェール」
- ロールズはリバタリアニズムをどう考えたか
- なぜ「社会の基礎構造」正義論の主題なのか
- 「格差原理」を検討する
- 「国民」という本質的な要素
- 政治的正義観念一般の批判
- ロールズ的社会における個人の行動の正しさ
- 「政治的正義」も重要だが、正義論の第一の主題ではない
- あとがき ――文献案内をかねて