【システム開発】火事場プロジェクトの法則(山崎敏)
書籍情報
- 著者:山崎敏(著)
- 発行日:2006-10-05
- ISBN:9784774128818
- URL:https://gihyo.jp/dp/ebook/2012/978-4-7741-5288-2
書籍目次
- はじめに
- 本書の構成・使い方 ―― デスマーチ・チェックリスト
- ■第1部 火事場プロジェクトの○と×
- B:バードビュー 全体指向/継続指向
- ■B1
- 【個人】顧客が本当に必要としているモノ(「ありがとう」と言ってもらえるモノ)がわかる
- 【組織】顧客が必要としているモノを探り出す仕組みがある
- ×:顧客の要望が曖昧
- ×:顧客の要求が大きすぎる
- ×:顧客からの仕様変更が多い
- ×:良い物は無条件に売れると信じている
- ○:複数のレベルの解決策を提案する
- ○:顧客にとっての良い物を考える
- ○:だれがどのような「ハッピー」を感じるのか考える
- ■B2
- 【個人】自分の「強み」をきちんと理解している
- 【組織】チームの「強み」をきちんと理解している
- ×:なんでもできる
- ×:最新の知識が強みだと思っている
- ○:自分/チームにできることを書き出してみる
- ○:地図を持つ/Must-Will-Canの図を描く
- ■B3
- 【個人】わかりやすさを優先している
- 【組織】ルールを減らす努力をしている
- ×:自分が理解できればいいと思っている
- ×:無駄なルールがある
- ○:わかりやすいコードを書く
- ○:無意味なルールをなくす
- ■B4
- 【個人】目の前にある作業に没頭せず、まわりの状況も把握している
- 【組織】部分的な効率よりも全体的な効率を優先している
- ×:全力疾走している
- ×:歯車になる
- ×:隣の人が何をしているのかよくわからない
- ○:最も弱い部分を効率化する
- ○:常に、より良い方法を探し続ける
- ○:すべての作業工程を理解する
- ○:クリティカルパスを知る
- ○:大切なことから実行する
- コラム ウォーターフォールはすべての作業がクリティカルパス
- ■B5
- 【個人】作業項目ではなく、要件単位に仕事を分割している
- 【組織】人数とスキルから納期やコストを計算している
- ×:人材が足りないと思っている
- ×:人海戦術
- ×:人月計算で人数をわりだしている
- ○:並列に分割する
- ○:「人数×期間=規模」で計算する
- コラム:どんぶり勘定/人月計算
- ■B6
- 【個人】仕事だけを優先しない
- 【組織】コストとパフォーマンスの両立を目指している
- ×:仕事が一番大切だと思っている
- ×:コストを避ける
- ○:コストとパフォーマンスが両立する点を探す
- ■B1
- C:コミュニケーション 共有指向
- ■C1
- 【個人】「こんにちは」「ありがとう」などの基本的なあいさつがきちんとできている
- 【組織】ルールで縛らずに、個人の誠実さやモラルを尊重している
- ×:あいさつと仕事は無関係だと思っている
- ○:きちんとあいさつする
- ○:気持ちを込める
- ■C2
- 【個人】いつでも相談できる相手がいる
- 【組織】気軽に話せる場がある
- ×:会議を開くまでの段取りが長い
- ×:雑談はムダだと考えている
- ○:雑談を活用する
- ○:喫茶室や喫煙室を有効に使う
- ○:スタンドアップミーティングをする
- ■C3
- 【個人】上司にいつでも気軽に話ができる
- 【組織】部下の意見を大切にしている
- ×:上意下達の一方通行
- ×:まちがったやり方を押し付ける
- ×:上司を敵だと思っている
- ○:話を聞く
- 〇:信用を大切にする
- ○:頼られる存在になる/頼れる人を探す
- ■C4
- 【個人】顧客の声を直接聞いている
- 【組織】開発だけでなく、いろいろな仕事を経験させている
- ×:言った!言わない!の水掛け論が多い
- ×:歩み寄ろうとしない
- ○:相手の要求を積極的に聞き出す
- 〇:自ら顧客にアポをとる
- ○:顧客の現場に足を運ぶ
- 〇:飲みに(食事に)行く
- コラム 情報が正しく伝わらない/ノイズが多い
- ■C5
- 【個人】担当を超えて、アイディアを発信したり、練り上げることができる
- 【組織】チーム間、部門間で情報(意見やアイディア)がとおりやすい
- ×:部門間での勝ち負けを重視する
- ○:人の交流を加速する
- ■C6
- 【個人】メールばかりに頼らず、直接対話も大切にしている
- 【組織】情報を共有するための仕組みがある
- ×:黙々と、淡々と仕事をする
- ○:直接会って話し合う
- ○:ホワイトボードを使う
- ○:手書きで描く
- ○:大きな紙に描いて壁に張る
- ■C1
- E:エモーション 人間指向
- ■E1
- 【個人】チームや組織のビジョンに共感できる(近くに目標となるようなあこがれの人物がいる)
- 【組織】ビジョンに対するチームの位置を把握できる
- ×:チームがバラバラ/どの方向に進んでいるのかわからない
- ○:ビジョンを共有する
- ○:マイルストーンを置く
- ■E2
- 【個人】やりがい、達成感、充実感(まわりからの期待や信頼)がある
- 【組織】地位や金銭以外の報酬(対価)に力を入れている
- ×:報酬のみを増やす
- ○:金銭以外の報酬に力を入れる
- ○:ほめる/認める
- ■E3
- 【個人】顧客の役に立っていると感じている
- 【組織】顧客の感情が全員に届くようになっている
- ×:何を作っているのかわからない/何のために仕事しているかわからない
- ○:作業に意味を持つ/意味や意義を「見える化」する
- ○:笑顔、感謝、喜びに触れる
- ■E4
- 【個人】上司や仲間の言葉に納得できる
- 【組織】「命令」より「共感」を優先している
- ×:人を物のように扱う
- ×:根性論
- ○:感情を大切にする
- ■E5
- 【個人】仕事量は適切だと感じている
- 【組織】チーム全員の疲弊度を把握する仕組みがある
- ×:いつもいそがしい/家に帰れない
- ×:残業が美徳になっている
- ×:割り込みが多い/兼業が多い
- ○:1つのプロジェクトに集中させる
- ○:ゆとりをとる/バッファをとる
- ○:感情を表してみる
- ■E6
- 【個人】仕事に誇りを持てている
- 【組織】人に誇れるチームである
- ×:不誠実/後ろめたさを感じる
- ○:誠実さを大切にする
- ○:やるべきことをきちんとやる
- ■E1
- F:フィードバック 適応指向
- ■F1
- 【個人】顧客の声を改善に活かしている
- 【組織】顧客の声がスムーズに流れている(対応が早い)
- ×:顧客を敵だと思っている
- ×:クレームを受け付けない
- ○:プロトタイプを出す
- ○:アンケートをとる
- ○:反復開発をする(アジャイル開発を意識する)
- コラム 永遠のベータ版と考える
- ■F2
- 【個人】失敗をすばやく正確に報告することができる
- 【組織】失敗を受け入れている
- ×:失敗を隠す/問題を隠す
- ×:失敗を恐れる/失敗を避ける
- ○:失敗を共有する
- ○:失敗を怒らない
- ■F3
- 【個人】問題を話せる人(解決できる人)がすぐ近くにいる
- 【組織】問題や失敗を大きくしないうちに見つけだし、すばやく修正し、検証できる
- ×:表面を取り繕う
- ○:根本原因を探る/なぜを5回繰り返す
- ○:全員の距離を近くする
- ○:顧客を巻き込む
- ■F4
- 【個人】新しい技術ややり方に積極的に挑戦している
- 【組織】変化やリスクを受け入れる仕組みがある(リスクに過剰に反応しない)
- ×:変化を避ける
- ○:フィードバックしながらリスクを最小限にする
- ○:ゆとりを持つ/安全域を持つ
- ○:単体テストをする/自動テストをする
- ○:デイリービルド/常に動くコードを維持する
- ■F5
- 【個人】現場の経験や勘を大切にしている
- 【組織】理論ばかりではなく実践や実験を重視している
- ×:現実を見ない/現状を知らない(特に上司が)
- ×:数字しか見ない/理論にこだわる/技術にこだわる
- ×:現場に権限がない/やらせない
- ○:やってみる/体感する
- ○:数字よりも意味や価値を見る
- ○:検証済み/実践済みの知識を重視する
- ○:権限を委譲する/委譲してもらう
- ■F6
- 【個人】積極的に知識や知恵を共有している
- 【組織】1つの作業を2人以上が理解している(作業のバックアップやフォローする体制ができている)
- ×:仕事を休めない/休むと全体の作業が止まる
- ○:レビューをする
- ○:ペアプログラミングをする
- ■F1
- B:バードビュー 全体指向/継続指向
- ■第2部 デスマーチを斬る
- 1章 デスマーチはなぜ生まれるのか
- 一生、飢えない
- 1-1 おかしいことを疑問に思わない
- モノづくりが好き
- 人と関わらなくても仕事が終わる
- ルールの意味がわからない
- 無駄なルール
- 作業の意味がわからない
- だれも読まないドキュメント
- 顧客は何もわからない
- テスト=ハンコをもらう仕事
- やり方を変えようとしない
- コラム 家を建てる話
- 1-2 こまったときの根性論、話の通じない上司
- 残業するのがあたりまえ
- 残業代 > 基本給
- 常に全力疾走(スパート)
- パニック状態でまわりが見えない
- 根性論による過度なプレッシャー
- まわりの人が次々に辞めていく
- 過度なプレッシャーによる悪循環
- いそがしいことより上司がストレス
- コラム 問題上司には2つのタイプがいる
- 1-3 技術力がすべて
- 変わるパラダイム・変わらない考え方
- ひたすら技術を磨く
- 技術は見ても顧客は見ない
- 1-4 見える数字が見えない問題を増やす
- 要求があいまい
- 人海戦術の罠
- 人が増えるコストを考慮しない
- 人がいても効率は上がらない
- 人数が10倍=コミュニケーションの負荷は100倍
- 規模ではなく複雑度の問題が大きい
- 威張る上司
- お金があってもデスマーチは防げない
- 2章 どうすればデスマーチを防げるのか
- 2-1 現場に行けば楽になる
- 顧客と話してすべてを決める
- 顧客と自分でルールを決める
- 顧客と対立しない
- 顧客から本当の希望を引き出す
- 入力と出力は比例する
- コラム コミュニケーションを隔てる3つの壁
- 2-2 ルールを変えれば逃げられる
- 規模が大きすぎて全体を把握できない
- 仕様書を鵜呑みにしない
- 自分が動けばルールは変わる
- 意味あるルールに変えていく
- シンプルにすればうまくいく
- 対立してはダメ
- コラム 無意味な検収
- 2-3 問題は根本から断ち切る
- プロジェクトの途中で人を増やす
- 最悪の条件とルール
- 臭い物には蓋をする、ことなかれ主義
- できることからやっていく
- 分割リリースでしのぎ切る
- コラム 問題を増やす業界構造
- 2-1 現場に行けば楽になる
- 3章 会社を辞める、そして見えてきたもの
- 3-1 デスマーチから逃げるためには
- スキルがあっても逃げられない
- 自分で仕事を取りに行く
- 仕事=社会に価値を生み出すこと
- 働くだけでは価値にならない
- 雇われていると見えないもの
- 視点の変化はパラダイムの変化
- 自分1人じゃどうにもならない
- スーパー火消しなどいない
- 3-2 サラリーマン生活からの脱出
- 会社に気持ちを踏みにじられる
- 辞める不安と手にする自由
- 自分でお金を管理する
- 人のつながりで仕事をもらう
- 3-3 技術だけでは見えないもの
- お金の本質とは
- 「人」についての本を読む
- 技術書の限界?
- 技術書からビジネス書へ
- 求めなければ手に入らない
- 3-4 人との出会いが価値を生む
- 従業員から投資家へ
- 価値に対して投資する
- 価値とは何か
- 自分の価値観と他人の価値観は違う
- 「人」を見ないと利益は出ない
- 価値を生むのは開発者ではない
- 顧客は価値を語れない
- プロジェクトの価値とは
- 3-1 デスマーチから逃げるためには
- 4章 1人の力を最大限に活かすには
- 4-1 チーム(組織)はやはり必要
- 1人の限界
- なぜ組織は価値を発揮できないのか
- ムダを増やす合理主義
- モチベーションを下げる管理者
- 臭いものに蓋をする成果主義
- 意味ない効率化につながる分業化/専門化
- 現場を萎縮させる変化への恐れ
- 4-2 どうすれば人の力が発揮されるのか
- 人がすべての中心
- 人は意味を求めて動く
- 「意味」「つながり」「誠実さ」がモチベーションを高める
- 管理するのは「チームが進む意味」
- 4-3 組織のために個人は何をすべきか
- 対立から共存へ
- 「自分だけ『ハッピー』」にはなれない
- give and given
- BCEF
- ハンマーは捨てるな、磨き続けろ
- お互いが価値を高め合うために
- 幸運は、努力し続けた人にのみ渡される
- 4-1 チーム(組織)はやはり必要
- 1章 デスマーチはなぜ生まれるのか
- 付録 デスマーチに効く本
- あとがき