アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治(吉田徹)
書籍情報
- 著者:吉田徹(著)
- 発行日:2020-09-16
- ISBN:9784065209240
- URL:https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000344878
書籍目次
- まえがき ――「暗い時代」の深淵を覗く
- 序章 「政治」はもはや変わりつつある ――共同体・権力・争点
- 怒りと敵意という力学
- 流動化する国民国家の境界線 ――共同体
- 衰退する企業、 労働組合、家族 ――権力
- 価値をめぐる分配に ――争点
- 三位一体の崩壊
- 急増する移民 ――「多分化」社会
- 「強い指導者」を望む声
- テロ、移民、教育 ――有権者が重視する争点
- 分極化する政治
- ねじれたアイデンティティ
- 人間は「曲げられた木片」
- リベラリズムというキーワード
- アイデンティティの空白
- ヘゲモニー闘争
- 不安や恐れの正体
- 第一章 リベラル・デモクラシーの退却 ――戦後政治の変容
- 伝統的な共同体の変化
- 「ポスト真実」を生んだもの劣化したアメリカの民主主義
- 広がる「非リベラル国家」
- ロシア、トルコという競争的権威主義国
- 「ワシントン・コンセンサス」から「北京コンセンサス」へ?
- 「リベラル」と「デモクラシー」の異なる源流
- 資本主義と一体化したリベラリズム
- リベラリズムと民主主義の共存
- 戦後コンセンサスの誕生
- 「リベラル・デモクラシー」対ファシズム?
- 両立のための二つの条件
- 政治リベラリズムと経済リベラリズムの結託
- 「大平準化」の時代
- 「中間層」の困窮化
- 製造業の衰退と「二極化」
- 命の価値さえも不平等
- 行き場を失う中間層
- 「捕食性アイデンティティ」 ――社会的ステイタスを脅かされる恐怖
- 現状の否定への反転 ――フロム「自由からの逃走」
- 将来を悲観する人びと
- 「民主化の波」は押し返されるのか
- 第二章 権威主義政治はなぜ生まれたのか リベラリズムの路
- 「権威主義 リベラル」の対立軸へ
- パークの保守主義の内実
- ヨーロッパのリベラルはアメリカの保守主義
- 資本主義が生み出した第三の潮流階級と階層の違い ――マルクスとウェーバー
- 保守と左派の対立構造
- 左派政党に投票しない労働者
- 非経済的争点
- 「脱物質主義的価値観」 ――新たな対立軸の台頭
- 保守 左派と権威主義 パリベラルの四つの極
- 権威主義政治の台頭と「価値」の再分配
- アイデンティティ政治の拡大 「日本会議」の本義
- 「ステイタス政治」の勃興 ――ニューライトの共通点
- 「リベラル・コンセンサス」の完成(1) ――クリントン ・民主党の場合
- 「リベラル・コンセンサス」の完成(2) ――イギリス・ブレア労働党の場合
- 「リベラル・コンセンサス」の完成(3) ――ドイツ・シュレーダー政権の場合
- 「リベラル・コンセンサス」の完成(4) ――フランスとオーストリアの場合
- 「複合エリート」の完成
- 「反リベラル連合」の誕生
- 第三章 歴史はなぜ人びとを分断するのか ――記憶と忘却
- 歴史認識問題の波及
- 「記憶の共同体」
- 「フェイク」なものとしての歴史
- 「歴史認識紛争」のはじまり
- 国家間と国家内を横断した分断
- 「想い出された」 ショアの記憶 ――戦後世代の台頭
- 「世界の全体性」の誕生
- 冷戦終結が果たした役割 ――過去の記憶の掘り起こし
- 噴出する各国の歴史認識問題 ――「過去同士の争い」
- アルメニア人虐殺事件 ――遠隔地ナショナリズム
- 「集合的記憶」はいかに作られるか
- 「記憶」 と 「歴史」の境目
- 記憶はいかに歴史になるのか
- 歴史はただ「そこにある」ものではない
- 「ヴィシー症候群」
- イシグロ 「忘れられた巨人』が意味するもの
- 他人と共有できる「公正な記憶」 ――リクール
- 忘れずに赦す
- 第四章 「ウーバー化」するテロリズム ――移民問題とヘイトクライム
- 「ホームグロウン・テロ」
- 減少しているテロ死者数
- テロの三つの世代
- 「弱者」のテロ
- 信仰が原因ではない
- ヴェール禁止とマイノリティ差別
- 過激派に至る三つのステップ
- 移民版ロスジェネとしての二世
- 「ボクはドイツで生まれたんだ」
- 「眼差し」 からのヘイトクライム
- 宗教テロを呼び込むのは社会
- ラディカリズムを呼び込む悪循環
- 「ポスト世俗化」の議論
- 「呼び出される」神
- 「ポスト・デュルケーム」の時代
- 個人の解放が宗教を招き寄せる逆説
- ウエルベック 「服従」 は何に服従したのか
- 共鳴する敗者と宗教
- 第五章 アイデンティティ政治の起点とその隘路
- 「市民」と書かれたのぼり
- すべては一九六八年にはじまった
- 「反システム」運動としての六八年革命
- 六八年革命と個人化
- 新しい社会運動
- 「内閉した人間」の誕生
- 「ニューライト」の源泉
- 「反・人間主義」へと転化するリベラル
- 「政治的引きこもり」のはじまり
- 「新自由主義」との接合
- 個人主義が推し進める資本主義
- ナチズムとしての新自主義、新自由主義としてのナチズム
- 個人と集団の両立
- 終章 何がいけないのか?
- 五つの事象を貫くこと
- 新しい見取図
- 五つのリベラリズム
- リベラリズムとその不整合
- リベラリズムの「弁証法」
- アイデンティティ不安の時代に ――リベラリズムの「請け戻し」
- 参考・引用文献
- あとがき