シャーディング
1. 目的
DBサーバの可用性の向上
- 単一サーバでは扱いきれない量のデータ量やクエリを複数のサーバに分割することで処理を分散し、システムの可用性を向上させる
2. 課題
システムで扱うデータ量が単一サーバで処理できるレベルを超えている
- 例えば、1秒間に数万件の投稿があるサービスの場合、1台のDBサーバでは書き込みのスループットが追いつかなくなってしまう
- 結果として、クエリレスポンスタイムの悪化やCPU/メモリリソースの枯渇からシステム停止に至ってしまう
3. 対策
データベースの水平分割(Horizontal Partitioning)
- 1つの巨大なテーブルを複数の小さなテーブル(シャード)に分割し、それぞれを異なるDBサーバーに配置する
- 例えば、ユーザーIDに基づいて分割する場合、「ID 1-1000はサーバーA」「ID 1001-2000はサーバーB」のように振り分ける
- 物理的にテーブル(データ)を分割することでひとつのDBサーバで処理するデータ量を処理可能な量に制御することが可能になる
4. メリット
書き込み/読み込み性能の向上
- 複数サーバーで並列処理、負荷分散を行うことで書き込み性能が向上する
- 各サーバーで扱うデータ量を物理的に削減することでクエリの高速化が見込める
ストレージ容量の拡張
- 複数サーバを束ねて扱うことになるので、単一サーバーの容量限界を超えたデータを保存することができる
可用性・耐障害性の向上
- データが物理的に複数のサーバに分散しているので、一部のDBサーバに障害が発生した場合も他シャードのデータには影響がない
- DB障害の影響範囲が一部のユーザーに限定される(ことがあるかもしれない)
水平スケーラビリティの実現
5. デメリット
複雑性の増大
- 複数シャードにまたがるJOIN、集計クエリの困難化
- 分散トランザクション管理の複雑化
- ACID特性の保証が困難
データ分散の課題
- データの偏り(ホットスポット)の発生リスク
- リシャーディング(再分割)の困難さ
- シャーディングキー変更の大規模作業
運用コストの増加
- 管理サーバー台数の増加
- バックアップ、監視、セキュリティ対策の複雑化
- 障害対応の難易度上昇
- 開発・保守コストの増加
- アプリケーションコードの複雑化
その他
- シャード間のデータ整合性確保の困難さ
- スキーマ変更の全シャード適用の手間
- 柔軟性の低下
6. 注意事項
導入タイミング
- 本当に必要になってから導入する(早すぎる最適化は禁物)
- 他の手法で限界が見えた時点で検討
- データ量:数百GB〜数TB、書き込み:秒間数万件以上が目安
設計上の注意
- シャーディングキーの選択が最重要(後から変更困難)
- データの偏りを避ける設計
- ホットスポット対策の検討
- 将来的なリシャーディングを見据えた設計
運用上の注意
- 監視体制の強化(各シャードの状態把握)
- バックアップ・リカバリ戦略の策定
- 障害時の切り分け手順の確立
- 開発チームの学習コスト考慮
ビジネス判断
- 運用コストとメリットの比較検討
- SLA要件の確認
- 成長予測に基づく判断(6ヶ月〜1年先を見据える)
Appendix-1. シャーディング導入前に試すべき手法
- クエリとインデックスの最適化
- 垂直スケーリング(サーバースペック向上)
- リードレプリカの追加
- キャッシュの導入(Redis、Memcached)
- 垂直分割(機能・ドメインごとのDB分離)
- テーブルパーティショニング
Appendix-2. シャーディングの実装方法
- シャーディングキーの選定(ハッシュベース、レンジベース、地理的分散)
- データ分散ロジックの実装
- アプリケーション層での分散管理